私は頷き、パシュに向かって出来るだけ躯を屈めた。

手は自由に動かせないけれど、指先で引っ掛けて髪から抜くくらいはどうにか出来そうだ。
ただ、かなり躯は───近くなるけれど。

パシュ「よ、よーし!いくぞ!」
ラン「お願い……!」

膝立ちになったパシュが私の前で手を必死に動かす。
髪に、指が触れる。

こんなことで緊張している場合じゃないのに、ドキドキしてしまう自分が情けない。

パシュ「あ、何かいけそう!このまま……うおああああ───っ!?」
ラン「きゃぁぁ!?」
パシュ「……!?」
ラン「あ……っ」
パシュ「う」
パシュ「うわぁぁぁ!?ごめん!ごめん!」
ラン「う、うん……」

とは言うものの、手足が自由にならない状態なのでなかなか巧く起き上がれない。

パシュ「うおあああおあ!?」

起き上がろうとしてはまた転がり───。

パシュ「ごめ……っ!わざとじゃないから!」
ラン「だ、大丈夫分かって……る……」
パシュ「ほんっと違うから!いくら俺でもこんな時にそんなことしないから!!」
ラン「う、うん……」
パシュ「ちょ、ちょっと焦り過ぎたかも、慎重にやるよ」
ラン「そ……そうだね」

照れてる場合でも緊張している場合でもないのに、余りにもパシュが近過ぎる。

身長は殆ど変わらないような気がしていたのに、
触れている身体は筋肉のつき方が私と全然違って、凄く『男の子』だった。

吐息も首筋に触れるし、声も近くて、
本当にもうそんな場合じゃないのにどんどん恥ずかしくなってくる。

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