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SCENARIO
オルガ
「……くだらん騒ぎは終わりか」

呟くような、小さな声。
なのに、その場の全員を凍りつかせるような声。

自然と、全員の視線がそこに集まる。
一人の壮年に差し掛かった男が
従者を伴って立っていた。
黒衣の中に、鷹のように鋭い眼が光る。
黒い影……。
ふいにそんな言葉がよぎった。

ティ
「お、お父様……!?」
ルーガス
「父上……!」

この街に住む人間なら誰もが知っていて、
そして少なからず畏怖の念を抱いている人物。
鷹の一族の当主。オルガ。
言い争いをしていた私達からも、
囲んで騒いでいた人ごみからも。
一切の声が消えた。
オルガ一人に、
全てを呑み込まれてしまったかのように。

オルガ
「ハク。この程度のことで、わざわざ私を呼び出したか」
ハク
「申し訳ございません、旦那様。どうやら余計な気を回してしまったようで……」
オルガ
「……まあ、いい。そこの小僧」

視線が、明らかに私の方を向いている。返事を、しないと。

ジェド
「な、何か?」

精一杯肺の中の空気を搾り出して、ようやく出せた声がそれだけだった。

©2016 IDEA FACTORY
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