WORLDCHARACTERGALLERYSYSTEMSOUNDSPECIALINFORMATION
ヴィオレット
「――あなたは、いつもそう。
痛くても、辛くても、その苦しさを人に見せようとはしない」
ヴィオレット
(儀式のときも、そうだった。
褄紅の言葉通りだとしたら、他の騎士より強い苦痛を抱えているのに)
指先に触れた唇越しに、戸惑う気配が伝わってくる。
それでも、わたしは口にする。たとえ彼の誇りを折る言葉だとしても。
ヴィオレット
「……ギスラン。痛いときは、痛いと言って。
苦しいときは、苦しいと言って」
ギスラン
「そんな見苦しい真似ができるか。ましてや……、おまえの前で」
ヴィオレット
「……いいえ、逆よ」
ギスラン
「何のために、だ」
ヴィオレット
「わたしのためよ」
ギスラン
「……っ!」
ヴィオレット
「先程の言葉通り、わたしを信頼してくれているなら……、
わたしには、わたしにだけは、弱いところも見せてほしい……」
そっと唇を離し、顔を上げかけた瞬間――
ギスラン
「……顔は、上げるな」
ヴィオレット
「ぎ、ギスラン……!?」
ギスラン
「……やかましい。黙ってそのままでいろ」
言われなくとも、これでは動けない。
状況を認識するごとに、頬に熱が込み上げる。
彼の表情は窺い知ることもできないけれど……。
間近に感じる鼓動と体温が、何より雄弁に想いを伝えてくれていた。
ギスラン
「……おまえは、卑怯な女だ。
自分は隠し事を抱えているくせに、俺には何も隠すなと言うつもりか。
俺の胸に生まれたこの気持ちまで、すべてさらけ出せというのか……?」
ヴィオレット
「……ギスラン……?」
ギスラン
「――顔は上げるなと言ったはずだ」
わたしの言葉を押し留めるように、ギスランは腕に力を込める。
痛くて、苦しいぐらいの強さ。
それはきっと、想いの強さと同じ。
ギスラン
「今の俺は……、おまえに、見せられる顔をしていない」
そして多分――、その想いは、わたしにも。

©2019 IDEA FACTORY/DESIGN FACTORY

SHARE
LINEで送る