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星川翡翠
「……今夜の貴女の唇は、カラメルの味ですね」
星川翡翠
「とても甘くて……いい香りがして……美味しいです」
久世ツグミ
「……翡翠……っ?」

彼が手にぐっと力を込め、また唇を押しつけてくる。

久世ツグミ
「……っん……」
星川翡翠
「……っは……っ」

彼の苛立ちを示すような、荒っぽい口付けだった。

息をする余裕もないくらい深く貪られ、
息苦しさに太腿が震える。

星川翡翠
「僕が和蘭陀に行くということは……っ」
星川翡翠
「今日のように朝約束して夜にプリン・ア・ラ・モード
を食べられないと……いうことです……っ」
星川翡翠
「僕がこのアパートから去るということは……っ」
星川翡翠
「貴女に触れたいと思った時に……こんなふうに
触れられないと……いうことです……っ」

同じものを食べたのだから、彼の唇もまた
カラメルの味なのだ。

柔らかで、少し冷たくて甘い。

星川翡翠
「分かって……いますか? 僕がこのアパートから
いなくなったら……こんなふうに口付けることは
出来なくなるんですよ……っ?」
星川翡翠
「貴女はそれでもいいんですか?」
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