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久世ツグミ
「きゃぁっ!?」
鷺澤累
「……!」
鷺澤累
「……停電か。すぐ近くに落ちた感じだったね」
久世ツグミ
「公園の方かしら? あそこは木が多いし」
久世ツグミ
「上の窓から様子が分かるかしら、ちょっと見てくるわね」

中央の階段に足をかけようとした時だった。

鷺澤累
「……待って」
久世ツグミ
「きゃ……!?」
鷺澤累
「……っ」
久世ツグミ
「……!?」

余りにも突然に唇を奪われて、私は呆然となった。

鷺澤累
「雷が怖いって抱きついてくれるのを待ってたのに。
怖くないの?」
久世ツグミ
「む、昔は怖かったけれど……泣いているヒタキをあやしているうちに、平気に……っ」
鷺澤累
「そうだったか、残念」
久世ツグミ
「……累、どいて……っ」

自分がいかに恥ずかしい格好でいるか、
気付いてももう遅かった。

彼は更に身体を押しつけ、私を逃げられなくしてしまう。

鷺澤累
「……ねぇ、君には誰にも言えない『秘密』がある?」
久世ツグミ
「え……っ」
鷺澤累
「心の奥底にしまい込んで厳重に鍵を掛け、
どんな信頼出来る人にも知られたくないような秘密がある?」
久世ツグミ
「……累? どうしたの……?」
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