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第一話 [ 嵐の予感 ]
花紋による騎士の選定を経て、この天上の地パルテダームに4人の騎士がやってきた。
彼らは非常に個性的で、箱庭の世界しか知らないレーヌ・ヴィオレットにとって新鮮な人物たちではあったが、それだけに戸惑うことも多く、彼らと絆を結ぶにはまだ時間がかかりそうだと思わざるを得ない。
ヴィオレットはできる限り彼らとともに過ごしながら、レーヌとしての使命を果たそうと懸命に努力を続けていた。
そんなある日、彼女の愛しい双子蝶である茜と瑠璃が、意を決したような厳しい表情で現れた。
そういえば最近は忙しくてこの子たちとの時間をあまり取れていなかった、と思いながら二人をお茶に誘ったヴィオレットだったが……
茜
「姫様。茜たち、今日は騎士に関することで大事なお話があるですの」
瑠璃
「騎士と親睦を深めるのは姫様のお仕事だってぼくたち、我慢してたです。でも……」
茜&瑠璃
「もう我慢も限界です(の)!」
ヴィオレット
「ふ、二人とも落ち着いて。一体どういうことか、説明してちょうだい」
瑠璃
「実は……ぼくたち、姫様にナイショで騎士たちを観察してたです」
茜
「騎士として、ちゃんと姫様に接していれば問題なかったですの。
でも実際は、とんでもなかったですの……!」
瑠璃
「レオンは姫様が視界に入っただけでデレデレしっぱなしですし、あわよくば触ろうとしてたです」
茜
「【なあなあ、ヴィオレットぉ~】って姫様の名前をなれなれしく呼ぶのも気に食わないですの!」
瑠璃
「ルイなんて、【ふふっ、君の反応は見ていて飽きないね】って、姫様をからかってばかりいるです!」
茜
「面白がってますの! 姫様はレーヌなのに……!」
瑠璃
「ギスランも、姫様を敬っているとは思えなかったです。ねっ、茜?」
茜
「はいですの。
【ハッ、女はこれだから……】とか、【貴様!】って、ことあるごとに言うですの。口癖ですの!」
瑠璃
「オルフェは一見害がなさそうに見えますけど、かえってそれが怪しいです」
茜
「ですのですの。ああいうタイプが推理物では犯人だったりするですの!」
瑠璃
「【ヴィオレット、僕を信じて……!】って姫様にすがってくるです!
それにほだされた途端、最大の裏切りが待ってるはずです……!」
茜
「みーんな騎士としてなってないですの!
これなら、茜たちの方がよっぽど騎士らしいですの!」
ヴィオレット
「ええと……二人が四人の事をどう思っているかはよくわかったわ。
でも……、あなたたちも知っての通り、騎士は花紋によって選定されるもの。二人が取って代わる事はできないのよ」
瑠璃
「そ、そうですけど……納得できないです」
ユベール
「確かに、これはゆゆしき事態と言える」
茜
「ユベール様!」
ユベール
「話は聞かせてもらったよ。二人が姫の身を案じている姿に、私はいたく感動した」
瑠璃
「えへへ……。ぼくたちは姫様の蝶ですから、これくらい当然です!」
ユベール
「その心意気、騎士にも見習ってほしいものだ……。
私から見ても、彼ら騎士たちの姫に対する態度は目に余るからね」
ヴィオレット
「ユベール、あまり二人をたきつけないでちょうだい。
騎士の皆も、悪気があるわけではないのだから」
ユベール
「そうは言うがね、姫。
今まで姫を支えてきた双子蝶からすれば、今の状況に納得できないのも無理はない。
そうだろう、二人とも?」
茜
「はいですの。騎士の必要性を感じられませんの」
瑠璃
「あの様子じゃ、姫様の助けになるかも微妙です」
ユベール
「奇遇なことに、私も騎士には思うところがあってね。
騎士だからといって、姫に何をしてもいいと言うわけではない。そのことをわからせてやらねばなるまいと思っていたんだ」
ヴィオレット
「ユベール、あなた……本気で言っているの?」
ユベール
「本気だとも。事態は姫が思っている以上に切迫しているのだよ。
このまま騎士の暴挙を許していては、いずれ姫にも被害が……」
茜
「そんなの、ダメですの! 絶対に姫様を守らないと!」
瑠璃
「ユベール様、ぼくたちに知恵を貸してほしいです……!」
ユベール
「もちろんだとも。姫に対する礼儀については、四蝶も指導しているが……まだ足りないのだろう。
もっと容赦なく、徹底的に指導する者が騎士には必要だ。例えば……君たちのような、ね」
瑠璃
「ぼくたちですか!?」
ユベール
「ああ。騎士は二人を子供だと侮っているかもしれないが、このパルテダームで生活してきた年数は君たちの方が上だ。
いわば、君たちの方が先輩なのだよ」
茜&瑠璃
「先輩……!」
ユベール
「姫と接してきた年月を考えれば、君達が騎士に礼儀を指導するのも理にかなっている。
そうは思わないかい?」
茜
「思うですの! むしろ、茜たちが適任ですの!」
ユベール
「先輩なら、後輩の指導を徹底しなければいけないね?」
瑠璃
「はいです!」
ヴィオレット
「ま、待って。わたしは反対だわ」
ユベール
「おや。しかし双子蝶はやる気に満ち溢れているが……?」
茜
「姫様、ここは【先輩の】茜たちに任せてほしいですの」
瑠璃
「ぼくたちが【先輩として】騎士を更生させるです……!」s
ヴィオレット
「でも、騎士のみんなが納得してくれるとは限らないでしょう?」
瑠璃
「う……。確かに、あの騎士のみんなが大人しく言うことを聞くとは思えないです」
ユベール
「なに、心配はいらない。口で言ってもわからないのなら、二人の方が立場が上だとわからせてあげればいいのだよ」
茜
「そ、そんなこと……できるですの?」
ユベール
「できるとも。そうだな……一対一の勝負をして、君たちが勝ったら従う約束を取り付ける、というのはどうだい?」
ヴィオレット
「勝負だなんて……。二人とも、ユベールの言葉を真に受けては駄目よ」
茜
「でもでも、ちょっと面白そうですの」
瑠璃
「どっちが強いかも、はっきりさせられそうですし……」
ユベール
「姫が騎士の身を案じているのはわかる。
だが、大切な双子蝶にこのまま煮え切らない思いを抱かせたままでいいのかな?」
ヴィオレット
「そ、それは……」
ユベール
「せめて騎士に打診だけでもしてみると言うのはどうだろう?
もちろん、騎士に無理強いはさせない。断られたらそこまでだ。
双子蝶も、それで納得してくれるかい?」
瑠璃
「はいです。お願いです、姫様!」
茜
「許可してほしいですの……!」
ヴィオレット
「瑠璃、茜……」
ユベール
「打診の仕方については、私が責任を持って指導するよ」
ヴィオレット
「……わかりました。そこまで言うなら……打診の件は許可します」
茜
「やったですのー!」
瑠璃
「ユベール様、ありがとうございます!」
ユベール
「ふふ、礼には及ばないよ。では二人とも、私の書斎においで。
一緒に騎士宛の書状をしたためるとしよう」
茜&瑠璃
「はいです(の)!」
ヴィオレット
「…………」
ユベールもついていることだし、それで二人の気が済むなら……と思っていたヴィオレット。
だが、ことはそう簡単には終わらなかった――

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