WORLDCHARACTERGALLERYSYSTEMSOUNDSPECIALINFORMATION
第一話
第二話
第三話
第四話
第五話
第六話
第七話
COUNTDOWN
発売記念SS
第六話 [ 四回戦 ギスラン VS 茜 ]
ユベール
「さて、双子蝶も戻ってきたところで……、四回戦を始めるとしよう」
茜
「瑠璃をいじめるなんて、許せないですの! 次の勝負で引導を渡してやるですの!」
ギスラン
「威勢だけは認めてやる。だが、相手が悪かったな」
レオン
「……あの自信、一体どこから出てくるんだろうな?」
オルフェ
「しー。ギスランがせっかくやる気になってくれてるんだから、茶化しちゃダメだよ、レオン」
ユベール
「思いやりを試す勝負では、いかに姫の気持ちにより添えるかを試させてもらう」
茜
「それなら茜、得意分野ですの!」
ギスラン
「レーヌの気持ち、だと……? 俺は男だ。女の気持ちなどわかりようがない」
ルイ
「どうやら彼のやる気は長続きしなかったようだよ、オルフェ」
オルフェ
「そ、そんなことないよ。たぶん……」
ヴィオレット
「同性と異性とでは、考え方が違うもの。今のままでは、ギスランが不利ではない?」
ユベール
「姫がそう言うだろうと思って、あらかじめ手は打ってあるよ。――マリオネット、例のものを」
オルフェ
「……うわ、すごい」
ギスラン
「なんだ、これは……。女物のドレスにアクセサリー……?」
茜
「靴もあるですの。ユベール様、これって……?」
ユベール
「マダム・エンジュに頼んで、取り寄せてもらったのだよ。
今から君たちには、姫の身になって各々コーディネートをしてもらう」
レオン
「ギスランにコーディネート!? 想像すら出来ねえぞ」
ユベール
「クリザンテームにしろ、パルテダームにしろ、女性がいないわけではないだろう?
着飾った女性を見たことがあるなら、それらしく組み合わせることは可能なはずだ」
ヴィオレット
(マダム・エンジュが選んだだけあって、どれも素敵なものばかりだわ。ここにあるものを組み合わせるだけなら、ギスランにも……)
ギスラン
「…………」
ヴィオレット
(あ、かなり困惑しているわ。やっぱり、別の内容に変えてもらうべきかしら……)
ユベール
「……これくらいなら、できると踏んでいたんだがね。まあ、できないというのなら――」
ギスラン
「ば、馬鹿を言うな。誰もできないとは言っていない。さっさと始めるぞ」
ユベール
「……姫。ギスランも了承したことだし、第四試合はコーディネート勝負、ということで構わないね?」
ヴィオレット
「え、ええ……」
ユベール
「最終的に、姫が着てみたいと思ったコーディネートをした者を勝者とする。これで勝敗が決するからね、両者の健闘を期待しているよ」
ヴィオレット
「では、第四試合……始め!」
茜
「ここは、茜の腕の見せ所ですの!」
オルフェ
「茜は早速ドレスを選び出したけど……、ギスランは?」
ギスラン
「…………」
レオン
「微動だにしてねえじゃねーか! さっきまでの威勢は、どこいったんだよ!?」
ギスラン
「う、うるさい。選べばいいんだろう、選べば!」
ヴィオレット
「……ギスラン、大丈夫かしら」
ルイ
「あの様子を見るに、かなり戸惑っているようだ。助言は禁止されていないことだし、ここは彼に協力してあげよう」
オルフェ
「そうだね。……あ、ギスラン。今手に取ったのは、ウィエに伝わる着物だよ」
ギスラン
「着物……。ああ、北の騎士の蝶も着ているな」
レオン
「ヴィオレットが揚羽みたいに着崩したりしたら……ヤバイ。想像だけで、すげえ破壊力だぜ……!」
ヴィオレット
「レオン、何か誤解しているようだけれど……。わたしはどちらを着てみたいか、選ぶだけよ?」
レオン
「いやいや、それじゃもったいねえって! ほら、見てみろ。あーんなスリットが入ったドレスまであるんだぞ? せっかくだしさ、イメチェンするのも悪くねえと思うんだよな!」
オルフェ
「レオン、ヴィオレットを困らせちゃダメだよ。それに、ドレスを選ぶのはギスランなんだからね?」
ルイ
「とはいえ、先ほどからドレスの前を行ったりきたりするだけで、手に取るのすらためらっているようだが」
ギスラン
「……なんだ、この布切れは。これもドレスなのか……? 造りがまったくわからん……」
レオン
「おいおい、あんなんで大丈夫なのかよ?」
ヴィオレット
(さっきから、眉間の皺がどんどん深くなっているわ。でも……、一着ずつ吟味してくれているみたい。ああいうところは、中途半端を許さないギスランらしいわね)
茜
「姫様、姫様。茜、コーディネートできましたの!」
ヴィオレット
「えっ。もう?」
ユベール
「ギスランには引き続き選んでもらうとして……、先に茜の選んだものを披露してもらうとしよう」
茜
「はいですの。たくさん素敵なドレスがあって目移りしたですけど、茜はフェミニンなコーディネートにしたですの♡」
レオン
「黒いレースがこれでもかってくらいあしらわれたドレスか……。丈が短いのは、すっげえいいと思うぜ……!」
茜
「いつも姫様は髪の毛を下されてますけど、このドレスを着る時は茜みたいにお団子にしてほしいですの♡」
オルフェ
「いつもと雰囲気違うけど、想像するとなんだか可愛いね?」
ヴィオレット
「そ、そうかしら……。茜みたいに着こなせるとは思えないのだけれど」
瑠璃
「そんなの心配いらないです。ぼくたちに任せてください★」
茜
「ぜーったいに姫様に似合うですの。茜の目に狂いはないですの!」
レオン
「自信満々なだけあって、非の打ち所のないコーディネートだったな。あれに対抗するコーディネートってなると、なり難易度高いぞ」
オルフェ
「あ、でもギスラン、ドレスを手に持ってるよ。……いつもヴィオレットが着てるドレスと色合いが似てるね?」
ヴィオレット
「ほんとだわ。それに、今手にしているブレスレットも桜の花がモチーフになっているようだし……」
茜
「ギスラン、それじゃいつもと変わらないですの。選ぶのが大変だからって、楽しようとしてるですの!」
ギスラン
「ち、違う。着慣れているものと似ているほうが落ち着くと思ったまでだ。それに着飾らなくとも、レーヌには……こういったドレスが似合っている」
ヴィオレット
「……っ!」
ルイ
「ほう。まさか彼の口から、あんな言葉が聞けるとは……。馬の前でしか語れない男だと思っていたよ」
ギスラン
「やかましい!」
ヴィオレット
(なかなか口に出してくれないから、ギスランの胸の内はわからないことが多いけれど。あんなふうに思ってくれていたのね……)
茜
「姫様……、なんだか嬉しそうですの」
ヴィオレット
「えっ? そ、そう……?」
茜
「……勝敗は姫様の判断ってことでしたけど、今の姫様の顔を見て、茜……わかっちゃいましたの。茜の負けですの……」
瑠璃
「茜……」
茜
「ごめんなさいですの、瑠璃。茜、姫様に着てほしいものを選んじゃいましたの。でもそれじゃ、姫様のことを考えていたとは言えないですの」
瑠璃
「確かに、ギスランは姫様の身になって選んでたです……。すっごくすっごーく悔しいけど……ちょっと見直したです」
茜
「こ、今回は……負けを認めるですの」
ギスラン
「…………。おまえたちは、何があっても自分から負けを認めたりはしないと思っていたが……」
茜
「ふーんだ。勘違いしないでほしいですの。ちょっとはできるって思っただけですの!」
瑠璃
「そうです、完全に認めたわけじゃないです! べーっだ!!」
ギスラン
「……殊勝だったのは、一瞬だけだったか」
オルフェ
「まあ、この方が双子蝶らしいよね」
ルイ
「これで引き下がるようなら、最初から私たちに勝負を挑みはしなかっただろう」
レオン
「あっ! そうだよ、この勝負……俺たちの勝ちってことだよな、ヴィオレット?」
ヴィオレット
「……ええ。みんな、この子たちに付き合ってくれてありがとう」
瑠璃
「ルイには逆らっちゃいけないって、今回の勝負でよーくわかったです……」
レオン
「ああ、それは俺も痛感したぜ。つか、俺たちは頑張ったけどよ。ルイだけ特に何もしてねえよな?」
ルイ
「おや。気付いてしまったかい?」
茜
「ずるいですの! やっぱり騎士として認められないですの!」
オルフェ
「ねえ、僕と瑠璃がやった勝負ならすぐできるから、ルイもやってみたら?」
ギスラン
「ああ、それはいい。紙風船も予備のものがあったはずだ。そら、ヘルメットを被れ鳥の巣頭!」
ルイ
「…………。すまないが、私はこれで失礼するよ」
レオン
「逃がすかっつーの!」
ルイ
「……っ! 悪いが、急用があるものでね。失礼!」
オルフェ
「あ、待ってよルイ!」
ギスラン
「追うぞ! 自分だけ恥を免れようとするその根性、気に入らん!!」
レオン
「双子蝶は勝負に使う道具一式持って来い! ぜってー取り押さえるぞ!」
瑠璃
「わかったです!」
茜
「レオン、逃がしちゃダメですの!」
ヴィオレット
「……………………」
ユベール
「…………」
ヴィオレット
「みんな、行ってしまったわね……」
ユベール
「ふふ……、あれで案外息が合っているのかもしれないね。楽しそうで何よりだ」

©2019 IDEA FACTORY/DESIGN FACTORY

SHARE
LINEで送る