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第二話 [ 回り始めた歯車 ]
茜
「ふんふふんふふーん♪」
瑠璃
「今日はいい天気ですね~姫様☆」
ヴィオレット
「ええ。庭でお茶を飲むことにして、正解だったわ。
二人がそんなにご機嫌なのも、ボヌール卿から頂いたお菓子がおいしいからかしら?」
茜
「えへへ……。それもありますけど、実は、これからもーっといいことがあるですの♡」
ヴィオレット
「……いいこと?」
瑠璃
「はい☆ 果たし状で指定した時間がもうすぐなんです」
ヴィオレット
「え? あの……今、果たし状と聞こえたのは、わたしの聞き間違いかしら?」
茜
「間違いじゃないですの。昨日ユベール様と一緒に書いて、二人で騎士に渡しにいったですの♡」
瑠璃
「ユベール様、絶対に騎士は来るって言ってたです。
これで勝負が出来るです☆」
ヴィオレット
「勝負って、あなたたち……」
茜
「あっ。噂をしたら、来たですの!」
レオン
「ヴィ、ヴィオレット~!! 頼む、勝負でも何でもするから、嫌わないでくれ……!」
ヴィオレット
「レオン!? 嫌うって……どういうこと?」
レオン
「どうって……【勝負に応じなければ、姫に軽蔑されることは間違いない】って果たし状の最後に書いてあったぞ!」
茜
「最後の言葉は、ユベール様が書き添えてくれたですの」
瑠璃
「さすがはユベール様。効果てきめんです!」
ルイ
「おや。私の果たし状には、【勝負に応じないときは子供の遊びに興じられないほど度量の狭い男だと姫に吹聴する】と書かれていたよ」
ギスラン
「俺のには、【子供からとはいえ、果たし状を受け取ったからにはクリザンテームの武人としての判断を期待する】と……」
オルフェ
「え、そうなの? 僕のには【双子蝶と遊んであげてほしい】としか書かれていなかったけど……」
ヴィオレット
「…………」
ユベール
「おや、全員揃うとは素晴らしい。
どうやらみんな、快く双子蝶と勝負をしてくれるようだ」
ヴィオレット
「ユベール……! 果たし状を出すなんて、聞いていないわ。
それに、騎士に無理強いはさせないはずでしょう?」
ユベール
「無理強いはしていないよ。
彼らは、自分たちの意思でここに来た。そうだろう?」
ヴィオレット
「……っ。それは……、でも……」
茜
「尻尾を巻いて逃げなかったのは、褒めてやるですの!」
瑠璃
「さあ、尋常に勝負です!」
レオン
「よくわかんねえけど、受けて立つぜ!」
ルイ
「まあ、ちょうど暇をもてあましていたところだしね」
ギスラン
「勝負というからには、真剣を使った決闘なのだろうな?」
オルフェ
「ギスラン、さすがにそれはないんじゃないかな……。相手は双子蝶だし……」
ユベール
「見たまえ、姫。騎士もやる気のようだよ」
ヴィオレット
「そう仕向けたのは、あなたでしょう……!」
ユベール
「そんなに怖い顔をしないでくれ。
勝負の内容については私が決めさせてもらったが、騎士に危害が及ぶようなものは一切ないよ」
ヴィオレット
「……信用できないわ」
ユベール
「……では、中止にするかい? 姫がそうしたいと言うのなら、そうするといい」
茜
「姫様! 茜たち頑張りますの!」
瑠璃
「そうです! どうか中止になんてしないでくださいです!」
ヴィオレット
「あなたたち……」
ヴィオレット
(ユベールのことだから、この状況で中止に出来るはずがないと思っているのでしょうね。だったら……)
ヴィオレット
「勝負ということは……審判が必要になってくるわよね?」
ユベール
「それなら、私が――」
ヴィオレット
「いいえ。審判はわたしがするわ。別に問題はないでしょう?」
ユベール
「……もちろんだとも。それで姫が納得すると言うのならね」
ヴィオレット
「……いいわ。勝負の内容を聞かせてちょうだい」
ユベール
「では、みなにも聞いてもらうとしようか」
ユベール
「今回双子蝶は、君たちの騎士にあるまじき態度、行動に疑念を抱いた。
そこで私も騎士に必要な資質は何か……改めて考えてみたのだが――」
レオン
「そりゃやっぱ、レーヌであるヴィオレットを想う心だよな!
それなら俺、ここにいる誰にも負ける気がしねえぜ!」
茜
「勝手なこと言わないでほしいですの!」
瑠璃
「ぼくたちの方が、レオンよりずっと姫様のこと想ってるです!」
ギスラン
「ふん。心など、一体なんの役に立つというのだ」
レオン
「んだと? お堅い軍人様はこれだから困んだよなー。
双子蝶が勝負って言い出したのも、ヴィオレットに対する、おまえの態度がなってなかったからだろ」
ギスラン
「貴様、よくそんなことが言えるな。
レーヌに対し、騎士にあるまじき行動を取ったのはおまえだろう!」
レオン
「あ、あれは衝動的っつーか……!
あれ以降は気をつけてるから、いいだろ!」
ルイ
「そうだね。体中から姫に対する気持ちが漏れていることには、目をつぶってあげよう」
オルフェ
「レオンはそれだけ、正直な人ってことだよね」
ヴィオレット
「それが美点と言えなくもないのだけれど……」
ユベール
「レオン。姫を想う心を無にしろとは言わないが、姫を困らせることがあれば、そのときは……」
レオン
「わ、わかってるって。えーと……そういや、話の途中だったよな?」
ユベール
「ああ。騎士に必要な資質は、優れた戦闘力・知性・誠実さ・思いやりといったところだろう。
今日はこの資質を持っているか、騎士と双子蝶が一対一で戦い、四本勝負で勝敗を決することとする」
レオン
「まあ、いいんじゃねえか?
それぞれ得意な分野で双子蝶とあたれば、勝てそうだしよ」
ユベール
「尚、誰がどの分野で戦うかは、こちらで選ばせてもらった」
レオン
「えっ……」
ユベール
「そうそう、言い忘れていたが……これは個人ではなく、騎士四人と双子蝶とのチーム戦だ。
最終的に多く勝利を収めた側が勝者となる」
レオン
「ってことは、俺たちは三勝しなきゃいけねえってことか」
ルイ
「そういうことだろうが……、宰相殿のことだ。簡単には勝てないだろうね」
オルフェ
「瑠璃も茜も、普通の子供とはちょっと違うもんね?」
レオン
「ちょっとじゃねえ。武器を振り回して、命狙ってくるようなやつらだぞ!」
ヴィオレット
「安心してちょうだい。
あなたたちが不利にならないように、わたしが審判として勝敗を見極めさせてもらうわ」
レオン
「ヴィオレット……! ひょっとして、俺の身を案じて……?」
ヴィオレット
「いえ。あなた一人のためというわけでは……」
レオン
「よーしっ! ヴィオレットが見てるんだったら、俺は絶対勝ってみせるぜ!」
ギスラン
「単純なやつめ……」
ルイ
「まあ、これも乗り掛かった舟だ。楽しむとしよう」
オルフェ
「ヴィオレット、僕たち頑張るからね」
ヴィオレット
「ええ」
ユベール
「それでは――、一回戦を始めるとしよう」
ほくそ笑むユベールの姿に、何故か嫌な予感しかしないヴィオレット。
双子蝶と4人の騎士たちとの戦いが、いよいよ幕を開ける――

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