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第四話 [ 二回戦 レオン VS 茜 ]
茜
「初戦で負けたのは悔しいですけど、次の試合で取り返すですの。ユベール様、勝負の内容は?」
ユベール
「二回戦では、姫が危機に陥ったときに機転を利かせられる頭脳を持っているかを試させてもらう」
ギスラン
「普通に考えれば、南の騎士が適任だろうが……」
オルフェ
「苦手そうな人が選ばれるんだよね? だとしたら……」
レオン
「ん? なんで二人して俺を見るんだ?」
ルイ
「……知らないほうが身のためだよ、レオン」
レオン
「なんだよ。言っとくけどな、俺だってそこそこ頭は切れる――」
ユベール
「レオン。他の騎士も察していたとおり、君に知性が……いや、そもそも常識が備わっているのか。
私は、それが甚だ疑問だった」
レオン
「疑問視するなよ! つか、おまえは単純に俺を目の敵にしてるだけだろ!」
ユベール
「まさか。騎士は姫にとってなくてはならない存在だ。宰相である私が毛嫌いなど」
レオン
「笑顔で言われても、目が笑ってねえんだよな……」
ユベール
「とにかく……騎士からはレオン。そして茜。二人には、今から私が出題する問題に答えてもらう。
正解すると一点が入り、最終的に点の高かった者を勝者とする」
ギスラン
「この勝負は、落としたか……」
オルフェ
「仕方ないよね。人には向き不向きってあるし」
ルイ
「これで勝つためには、残る二試合で勝つしかなくなったわけだ」
レオン
「おい!! まだ試合は始まってすらねえよ!」
ギスラン
「結果は火を見るより明らかだろうが」
ルイ
「仮に、レオンが我々の想像以上の知性を発揮したとして……。
出題者が宰相殿である以上、君の勝ちは極めて低いだろう」
レオン
「いやいや、おまえらわかっちゃいねえな。俺はヴィオレットのためなら、不可能を可能にする男だぜ?」
ヴィオレット
「レオン、安心して。
ユベールがあなたに不利な問題を出題するようなら、わたしが審判として止めに入るわ」
レオン
「ヴィオレット……。俺のせっかくの決め台詞はスルーなんだな……」
ユベール
「では、そろそろ始めるとしよう。わかったら各自挙手をするように。いいね?」
茜
「はいですの。レオンにだけは絶っ対に負けないですの……!」
レオン
「俺だって負けてたまるかってんだ。オルフェに続いてみせるぜ……!」
ヴィオレット
「それでは第二試合……始め!」
ユベール
「第一問。自分でぐるぐる回っている本はどんな本?」
茜
「はいはいっ! 本は自分で動いたりしないですの!」
ユベール
「残念。不正解だ」
レオン
「よっしゃ、チャンス! はいっ!」
ユベール
「茜、私の書斎にある本をよーく思い出してごらん」
レオン
「無視すんな! つか、ヒント出すなら公平に出せよ!」
ヴィオレット
「ユベール、レオンの言う通りよ。次からヒントは公平に出して」
ユベール
「……すまない、姫。レオンはこう見えて大人だからね、ヒントなどいらないと思ったんだ」
レオン
「ぐぬぬ……。いちいち突っかかるようなこと言いやがって……!」
ヴィオレット
「レオン、答えを思いついたのでしょう? 何だと思ったの?」
レオン
「お、おう。その……辞典かなって」
ユベール
「……………………正解」
レオン
「よっしゃ!」
ヴィオレット
「正解のようだけれど、なぜ辞典なの?」
レオン
「いや……こういうのって、大抵言葉遊びだろ?
本って言うより、自分で回るって方を考えりゃいいんだよ。そしたら自転になるから……」
ヴィオレット
「! レオン、あなた……すごいじゃない!」
レオン
「そ、そうか? へへ……やったぜ、ヴィオレットに褒められた……!」
茜
「ううっ。レオンに遅れを取るなんて、悔しいですの……」
ルイ
「正直、知性という分野において、レオンに勝ち目はないと思っていたが……。わからなくなってきたね」
ギスラン
「自転……。そうか、だから本の辞典になるのか!」
オルフェ
「これって、頭の柔軟さが試されるね。ある意味、レオンに向いてるかも」
ユベール
「……一問目は、あえて難易度を低めにしたのだよ。ここから徐々に難易度を上げていく」
レオン
「くるならこいってんだ。全部解いて、ヴィオレットに俺の博識っぷりを見せ付けてやるぜ!」
ヴィオレット
(これは、博識とはちょっと違うんじゃないかしら……)
茜
「姫様、茜も今から本気を出すですの! 見ていてほしいですの」
ヴィオレット
「ええ。二人とも、頑張って」
ユベール
「では、第二問。食事を食べる前に抱くものは?」
レオン
「だ、抱くっ!? ユベール、おまえ……そんなこと、本人がいる前で答えさせんなよ……」
ヴィオレット
(? なぜレオンはわたしを見て、顔を赤らめているのかしら……?)
ユベール
「レオン……。何を勘違いしているのか知らないが、姫を不埒な目で見るのはやめてもらおうか」
レオン
「えっ。だって……抱くっていったらよ……」
茜
「はいはいっ! 答えは【いただきます】の【板】ですの!」
ユベール
「正解」
茜
「やったですの、姫様ー!」
瑠璃
「茜、すごい! 頭いいです!」
レオン
「し、しまった……!」
ギスラン
「答えが思いつかなかったのならいざ知らず、最低だな」
オルフェ
「一問目で見直しかけたけど、やっぱりレオンはレオンだったね」
ルイ
「端から彼は、【知性】どころか【品性】も持ち合わせていなかった、ということが証明されたわけだ」
レオン
「その汚いものを見る目つき、やめてくれ! 俺たち、仲間だろ!」
茜
「やっぱり姫様をこんなケダモノに任せられないですの。この勝負……勝つのは茜ですの!」
レオン
「くそ……。ユベール、次だ!」
ユベール
「では、第三問。たくさんこぼしても減らないものは?」
茜
「ジュース……、お茶……、どれも減るですの……」
レオン
「こぼしても減らない……。液体とは断定してないから、他の……」
ヴィオレット
「あっ!」
ユベール
「? どうかしたのかい、姫?」
ヴィオレット
「あ……、ごめんなさい。答えがわかったものだから、つい……」
瑠璃
「姫様、もうわかったですか? ぼく、全然わからないです……」
ユベール
「姫、その答えであっているか、確かめたくはないかい?」
ヴィオレット
「え、でも……これはレオンと茜の勝負でしょう?」
レオン
「俺は構わないぜ、ヴィオレット」
茜
「茜もですの」
ヴィオレット
「そ、そう? じゃあ答えは……【愚痴】、かしら?」
ユベール
「大正解、だ! 二人より早く答えを導き出すとは……さすがは姫だ」
ヴィオレット
「ふふ。当たると嬉しいものね」
レオン
「うんうん、ヴィオレットが嬉しそうだと俺も嬉しい」
茜
「レオンと一緒なのは癪ですけど、茜も嬉しいですの♡」
ギスラン
「おい。敵と馴れ合っている場合か」
レオン
「わ、わかってるって。ユベール、次の問題はなんだ?」
ユベール
「そうだね……。では、ボーナス問題を出そう。この問題に正解した者には、一億点を進呈する」
レオン
「それ、勝ったも同然じゃねえか! 今までの問題はなんだったんだよ!?」
ユベール
「一言で言えば……、余興だが?」
レオン
「このー……人の本気を弄びやがって……!」
ユベール
「まあ、落ち着きたまえ。今から出すボーナス問題こそ、この試合の肝だ。
これに答えられないようでは、姫のことを語る資格はない」
茜
「そ、そんなに難問ですの……?」
ユベール
「ずばり……私が愛らしいと思う、姫のしぐさは何か」
ヴィオレット
「えっ!?」
ルイ
「なるほど。どこかで仕掛けてくるとは思っていたが、ここにきて、姫に関する問題を出題するとはね」
オルフェ
「でも、これって……ユベールの感性の問題じゃないかな?」
ヴィオレット
「そうよね。ユベール、今の問題は――」
レオン
「待ってくれ、ヴィオレット。これは……おまえへの愛が試されてるってことだよな。
だったら俺は、この試練に打ち勝って見せるぜ!」
茜
「むぅ……姫様、茜だって負けないですの。
なんたってレオンとは、姫様と過ごしてきた年季が違うですの!」
ユベール
「どうやら、二人は乗り気なようだが?」
ヴィオレット
「……わかったわよ、もう」
ユベール
「ふふ。では、姫の許しも出たことだし……、わかった者から挙手をしてもらおう」
レオン
「はいっ! 今ヴィオレットが拗ねてそっぽを向いたしぐさは最高に愛らしかった!
だから今のが正解だ!」
茜
「それより、はにかんで困ったように頬に手を当てるほうが愛らしいですの!」
レオン
「うっ、確かに……。じゃあ、怒った顔はどうだ?
こう、ちょっと口を引き結んでぷんぷんって感じでさ、可愛いよな?」
茜
「それは……わかるですの。いつも見られるわけじゃないから、姫様の怒った姿は貴重ですの」
レオン
「そうなんだよな。だから怒られるのも癖になっちまうっていうかさー」
茜
「姫様にとっては迷惑ですの! レオンを理解できないって、よく困った顔をして首を傾げてますの」
レオン
「ああ。あのしぐさ、可愛いよなー」
茜
「可愛いって言うなら、お菓子をちょっとずつ口に運んでるしぐさも、茜は可愛いと思うですの……!」
ギスラン
「これは……勝負になっているのか?」
ヴィオレット
「わたしに聞かないでちょうだい……!」
ユベール
「ふむ……。二人とも、姫をよく見ているが……、まだ足りないな。
今あがった他にも、あと百はあるだろう?」
レオン
「おうよ! 他には……」
ヴィオレット
「ま、待って! お願いだから……そこまでにしてちょうだい!」
瑠璃
「姫様、お顔がまっかです……」
ユベール
「ふふ。よほど恥ずかしかったみたいだね? これ以上は姫が耐えられそうにない。
残念だが、ここまでにしよう」
オルフェ
「今のって……勝敗はどうなるの?」
ヴィオレット
「あ、そうね……。どうしようかしら」
ユベール
「内容はどちらも甲乙付けがたいものだった。
よって、レオンより一つ多く回答していた茜を勝者としてはどうかな?」
ヴィオレット
「他に決めようがないし……。ユベールの言うとおり、第二試合は茜の勝利にしましょう」
茜
「! レオンに勝ったですの……!」
レオン
「そんな……。よりによってヴィオレットに関することで、俺が負けるなんて……!」
ヴィオレット
「茜、よく頑張ったわね」
茜
「えへへ……。姫様に褒められちゃったですの♡」
レオン
「…………。うん、ものは考えようだな。茜が勝たなかったら、今のヴィオレットの笑顔は見れなかったわけだし。結果的に、俺は得したわけだ」
ギスラン
「貴様……! 負けたら連帯責任だということを忘れたのか!」
レオン
「あっ、そうだった……!」
ルイ
「これで一勝一敗か……。勝つためには、もう負けられなくなったわけだ」
オルフェ
「あと残ってるのは……ギスランとルイだよね?」
ギスラン
「ああ。そして試されるのは誠実さと思いやり、だったか……」
レオン
「! どっちにしても、おまえらが持ち合わせてねえもんじゃねえか!
これは、負けもありえるぞ……」
ギスラン
「おまえに言われる筋合いはない!!」

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