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フィーニス
「――何やってるのさ、姉さん。
僕はもうとっくに掃除終わったんだけど?」

突然、呆れたような声が響く。

リビングの入口で腕組みをしていたのは、
この写真に写っている男の子が、
そのまま成長した姿の少年。

――私に残された、
たった一人の家族だった。

フィーニス
「はあ、まったく姉さんは……
毎回毎回時間にルーズ過ぎるんだよ」
フィーニス
「もうイレブンジズティーの時間なんだよ?
姉さんのおかげでお茶も楽しめないなんて、最悪にもほどがあるんだけど」
フィーニス
「それとも、何?
僕の淹れたお茶が飲みたくないから、わざとそうやって――」
カルディア
「…………」
フィーニス
「――っ!?」
フィーニス
「ちょ……ね、姉さん……?
なんで泣いてるわけ……!?」
カルディア
「あ……」
フィーニス
「じょ、冗談に決まってるだろ!?
僕もちょっと言い過ぎ――」
カルディア
「あ……ううん、ごめんなさい。
写真を見ていたら、つい」

慌てたフィーニスの瞳が、
私の手元に向けられる。

次の瞬間、私の弟は、
あからさまに胸を撫で下ろした。

フィーニス
「な……なんだよ、人騒がせな……」
カルディア
「ふふ、心配してくれたの?」
フィーニス
「……………はあ?
してないし。
姉さんのバーカ」
©2020 IDEA FACTORY/DESIGN FACTORY
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