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光を通せば透けるような、白い髪。

顔の半面を覆う、仮面のような意匠。

美しいラインでしなり、
脈動を続ける細い喉――。

それら全てを併せ持つ、1人の歌姫。

彼女の発する旋律(アリア)に、
この場にいる全ての人間が
圧倒されていた。

もちろん声の大きさにではない。

その歌声の美しさと透明さに、だ。

楽器の音色が【包む音】だとすれば、
彼女の歌は【駆け抜ける音】だった。

彼女が喉を震わせる度に、
見えない風が一瞬にして押し寄せ、
心臓を鷲掴みにする。

そして掴まれた心臓は
鼓動という新たな楽器を使い、
脳へと幻想を送る。

ここではないどこかの景色が。
自分ではない誰かの感情が。

聴く者の脳に写り、再現されていく。

――この時。

同じ空間にいた二千の聴衆は
たった1人の例外もなく、
彼女が紡ぐ世界に囚われていた。

©2020 IDEA FACTORY/DESIGN FACTORY
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