比良坂ユキの「奥音里の歩き方」③

中一にして生徒会長、奥音里自慢の天才少年・ユキくんが、奥音里の魅力を紹介してくれます!



みなさん、こんにちは。比良坂ユキです。
今回はいよいよ皆さんがお泊りになる「風厘館」の中を御紹介させて頂きます。
今日は珍しく風厘館オーナー、叢雲ユヅキが見張りに……じゃなくて、見学に来てるんですよ。
ユヅキ、何か話すこと、ありますか?

俺に構うな。さっさと進めろ。



……あ、特にないそうです。では、やりづらいですけど、行ってみましょう。



風厘館ふうりんかん

少しだけおさらいしましょう。
風厘館は擬洋風という建築様式をとってまして、簡単にいうと、洋風建築を見よう見まねで日本人が模倣した建物。
それが擬洋風です。なかなか味のある外観をしてますよね。
奥音里に宿泊施設はこの風厘館ただ一軒、って、ご存知でしたか?
実は、10年ほど前までは、この町にもたくさん温泉宿が――。

……。 あ、いや、何でもないです。
それじゃ、中に入ってみましょうか。

ロビー

風厘館のロビーは、吹き抜けになっていて開放感があります。
こんなに広いのに、部屋数がたったの7つしかないなんて、贅沢ですよね。
いつもはこのフロントに、風厘館の紅一点、従業員の須沙野ユアさんがいてお客様をお迎えしています。
あ、ぼくも時々、このフロントに立ってますよ。
玄関扉の上の方に、この町の守り神と言われている猫のお面が飾ってあります。
歌舞伎の化粧を施してあって、夜、明かりのないところで目が合うと、ちょっとドキっとしますけど。
左手にある階段は、客室のある2階へと繋がってます。
そのまま左手の廊下を進むと、風厘館自慢の大浴場。
右手に進むと、人気の和カフェレストラン、風厘カフェに行くことができます。

風厘ふうりんカフェ

ここ風厘カフェは、屋外に繋がる出入り口も付いていて宿泊者だけでなく、町の人たちも気軽に利用できる憩いの場なんです。
メニューも軽食から和洋、中華にイタリアンまで、本当に豊富です。
でも、自慢の一品は特製オムライス。長年人気の看板メニューです。
オーソドックスに見えて、この味はなかなか再現できないそうですよ。
でも残念ながら、先日ここの女性シェフが病で倒れてしまい、その味はしばらく楽しめそうもありません。
なんとか夏までには、代わりのシェフを見つけたいところなのですが……。
皆さん、どなたか優秀な方、ご存知ありませんか? 年齢は特に問わないのですが。

庭園

こちらも風厘館自慢の英国式庭園です。西洋花が季節ごとに咲いて、とても気持ちのいい場所です。
だけど池には鯉が泳いでたり、灯篭が立ってたり、よく見ると統一感ありませんけどね。
この庭には、いつの間にか住み着いた白いネコがいるんですよ。人なつっこくて、とっても可愛いんです。
あ、でも須沙野ユアさんは、私に全然懐かない、って文句言ってましたけど。



今日はここまでです。
ご紹介した以外にも、温泉かけ流しの大浴場とか、まだまだ見どころは満載なのですが、あとはお越しになられてからのお楽しみということで。
最後にユヅキ、何か話すことは――あれ? いつの間にか、いなくなってしまいましたね。
えっと、では次回は、まだご紹介していない、とっておきの場所にご案内しますからね!