比良坂ユキの「奥音里の歩き方」②

中一にして生徒会長、奥音里自慢の天才少年・ユキくんが、奥音里の魅力を紹介してくれます!



みなさん、こんにちは。比良坂ユキです。
引き続き、奥音里の魅力を僕がしっかりご紹介したいと思います。
前回、いきなり邪魔をしてきたヤスは、駐在所の奥に手錠かけて閉じ込めておいたのでご安心ください。
さあ今回は、奥音里のちょっと不思議な場所を探訪したいと思います。

奥音おくね神社

山の斜面を利用して建立されている神社です。鳥居をくぐって階段を上がって行くと、社のある境内に出ます。
普段はとってものどかで、本当にいいところですよ。でもですね……。

皆さん、奥音里に言い伝えられている「屍者伝説」って、ご存知ですか?
あはは、さすが、もうお詳しいですね!
この奥音神社のお社には白蛇を祭ってあるとされているのですが、元々はこの神社、この世に蘇ってしまった屍者を弔うために存在する、なんて言われてるんですよ。でも、どうして白蛇なんですかね。

禁足地きんそくち

古くから入ってはならない場所とされ、立ち入りを禁じられている区画です。だけど、その理由って誰も知らないんです。
ぼくの母にも聞いてみたのですが、子供の頃から入っちゃいけない、って教えられてきたそうで、それがいつ始まったのかもわからないそうです。
とにかく、この禁足地に足を踏み入れたが最後、二度と戻ってくることはできない、なんて言われてて、これが「奥音里の神隠し」として、七不思議のひとつに数えられています。
今どき、そんな古い言い伝えに縛られてるなんて、おかしいですよね。
でも、意外とそういうところ、この日本にはあるみたいですよ。
時間があったら、調べてみては如何でしょうか。

謎のトンネル

奥音神社の脇道を上って行くとある、山奥へと通じる小さなトンネルです。
本当に小さいので、車で通るのは無理でしょうね。
昔は登山道に繋がる歩道だったのですが、奥音里は入山を禁じてますから、このトンネルも禁足地同様、立ち入り禁止になっています。
この先には朽ち果てた社があるとか、紫姓草の咲く場所があるとか、果ては奥音パンダの家族が住んでる特別保護区なんだとか……。まあ勝手な噂が作られてます。
でも、奥音里の住民なら、このトンネルに入ることは禁忌タブーとされていて、誰も入ろうだなんて思ったりしません。
言い伝えって、そういうものです。

奥音おくね

奥音里へ入る際に渡る、大きな橋です。
皆さんが最寄りの駅からバスでやって来る際には、必ずこの橋を通ることになります。
この橋の遥か下に流れるのは、神木川。
昔、白蛇が通った際にできたと言われている川です。
奥音里への出入り口はこの橋と、目抜き通りを通って反対側にあるトンネルだけですから、そうですね、ミステリー小説なら、この橋は崩れ落ちて、トンネルも崩壊して、奥音里は巨大な密室になって……なあんてことになるかもしれませんね。
ああ、真に受けないでくださいね、あくまで小説の中の話ですから!



今回はここでおしまいです。
次回は、みなさんがお泊りになる風厘館について詳しくご紹介したいと思ってます。
……って、あれ?みなさん、奥音里にいらっしゃるんですよね?
ちなみに風厘館にはあと1部屋しか空きがありませんから、早めにご予約、お願いしますね!

さて、ヤスの手錠、解いてやるとするかな!
でもさっき、「これって、悲劇のヒーローじゃね?」とか言ってたから、もう少し放っておくかな……。