比良坂ユキの「奥音里の歩き方」①

中一にして生徒会長、奥音里自慢の天才少年・ユキくんが、奥音里の魅力を紹介してくれます!



ようっ! みんな、よく来たな!
俺の名前は、久々利ヤスヒサ。この町で知らないヤツはいない、イケメン警官だ。
ま、気軽にヤスって呼んでくれ。いいんだって、可愛い子は特別よン!
さて、奥音里のヒーローといえばオレ、オレといえば奥音里の……。
わっ、な、なんだおまえらっ!? やめろ、触るんじゃねーっ!
しゃ、しゃべらせろ、オレにしゃべらせろおおお! ……もごもご。

えー、オホン。お見苦しいところをお見せしてすみませんでした。
改めまして、みなさん、こんにちは。比良坂ユキです。
この度、みなさんに奥音里の魅力をご紹介する大役を頂きまして、人前で喋るのは苦手なのですが、しっかりとお伝えしていきますので、もしこの町を気に入って頂けたら、ぜひ遊びに来てくださいね。
あ、因みにこれ、本当は僕じゃなくて、アホ警官のヤスがやるはずだったんですけど、なんだか、いろんな人の大反対にあったみたいで。それなのに勝手にここに来ちゃって……今、目の前で縛られてます。
ということで、じゃあ早速、行ってみましょうか!

目抜き通り

奥音里を横切るように東西に走る、町の大通りです。たくさんのお店が立ち並んでいて、いつも賑やか。
百年以上続いてる老舗のお店から、最近できたモダンなカフェまで、温故知新をいっぺんに楽しめるのが、この通りの魅力です。
あ、そうそう。運が良ければ、奥音パンダの着ぐるみ…じゃなくて、奥音パンダ本人に会えますよ。
因みに「目抜き通り」とは、元来「その町の最も人通りのある通り」という意味の言葉なんです。
この通りも、元々は別の名前がついていたらしいのですが、誰かが「町の目抜き通り」って言い始めたところから広まり始めて、今では誰も本来の通りの名前を覚えていないんだそうです。

風厘館ふうりんかん

叢雲ユヅキがオーナーを務める、町唯一の宿泊施設です。
迫力ある外観とは裏腹に、部屋数は7部屋しかないんです。まあ、そんなに観光客が来るところじゃないので…。
でも、広々としたロビーとか、温泉かけ流しの露天風呂とか、宿泊施設としては充実してますよ。
1階には和カフェ兼レストランの「風厘カフェ」を併設してます。
ここのシェフはイソラくん。まだ高校生なんですけど、その腕に間違いはありません。
自慢は風厘館特製オムライス。ぜひ一度お試しあれ!
とにかく、オーナーがやる気がないとか、女性スタッフが少々がさつとか、いろいろありますが奥音里に来たらぜひ泊まってみて下さい。
僕もフロントでお手伝いしてますから、声掛けてくださいね!

万屋よろずや

目抜き通りにある、ええと、なんて言うか……ひと言で表現するのが難しいのですが、一応、おみやげ屋さんです。
キーホルダーとか町の特産品とか…そうそう、町で人気の奥音パンダグッズも、ここなら何でも手に入ります。
ちょっと変わってるのが、小さなスーパーと、それから食堂も完備してるんです。
四万十産のうな重が絶品なんですけど、一日限定30食しか提供しないので、食べたければお早目に!
店主のおばさんは、とても気さくでいい人ですよ。
英語が堪能だということなんですが…まあ、とにかく、話かけてみて下さい。

奥音おくね中学校

僕が生徒会長を務める中学校です。
もうすぐ夏祭りですけど、その日の夜には、ここの校庭から花火が打ち上げられるんです。
視界いっぱいに広がる花火は必見ですよ!
そうそう、8月8日には、あのエイトが、ここの体育館でシークレットライブを開くんですよ!
エイト……もちろんご存知ですよね?
そう、あの国民的アイドルグループ、AUK-ZEROのセンターにして絶対的エース。
最近、解散を発表したのがちょっと残念ですけど……。
僕はライブの実行委員長でもあるので、もしご興味があれば、バックステージにご案内することもできますよ!
あ、これは内緒でお願いしますね……。



それから、それから…。え? 今回はこれでオシマイ? そうですか、それは残念です。
この奥音里には、ちょっと風変わりなミステリースポットが満載なんですけど、それはまた、次回にご案内しますね。

ほら、ヤス。終わったぞ。肩揉んで!