司会進行の凛です。
そしてこちらが、狗谷遼様になります。
遼様、今日はよろしくお願いします。

ふんっ。
なんで俺がわざわざ過ぎ去ったもんをまた1から説明しなきゃならねぇんだよ。

蒼黒の楔を知らない方、または知っているけれど忘れてしまっている方に
説明してほしいと玉依姫様に頼まれました。

……ちっ。俺の主の命令じゃ仕方ねぇな。

蒼黒の楔は鬼斬丸を封印して、
平和ボケしてた季封村に起きた
新たな事件のことだ。

はい。突然季封村の住人がすべていなくなってしまい、
夜が訪れなくなるという怪現象が村を襲ったんですよね。

ああ。最初は何が原因かわからなくていろいろ調査して……。

その途中で、うつろに襲われてるおまえを
あいつが助けたんだったよな。

はい。玉依姫様に救っていただかなければ、
今ここに僕はいなかったと思います。
玉依姫様には感謝してもし足りません。

もちろん、守護者の方々もです。
あのときは僕を助けてくださってありがとうございました。

ちっ……。改めて言うことじゃねぇだろ。
過ぎたことをいちいち気にしてんじゃねぇよ。

す、すみません。

別に怒ってねぇから、謝んな。
で、おまえを保護したあいつはまた変なヤツを連れてくんだよな。

ケテル様のことですね!

ああ。あいつはケテルに命を助けてもらったとか言ってたが、
おまえ以上に怪しかったな。

そうでしょうか?
ケテル様はとてもお優しい方ですよ。
もちろん、遼様もです!

……おまえの審美眼はあてにならねぇな。

しっかし、あいつを1人で出歩かせると、必ずと言っていいほど
なんかしらのトラブルを起こしやがるな。

だからずっと俺の傍にいればいいものを、
目を離した隙にあっちこっちに行きやがる。

玉依姫様はみなさんのことを気にかけていらっしゃるんですよ。

ふん。あいつは、俺1人だけ気にかけてればいいのによ……。
ま、んなこと言っても仕方ねぇか。

そういうのはじっくりと覚えさせればいいだけの話だ。

よくわかりませんが、遼様。
頑張ってくださいね!

わかんねぇのに応援するのかよ……。
はあ。話が脱線したが、その後俺たちは怪現象の調査に乗り出した。

はい!その結果、【陰の鏡】と――。

【陽の鏡】が原因であることを突き止めたんですよね。

2つの鏡を壊せば現象を終わらせる
ことができることがわかった俺たちは、鏡を集めて破壊することにしたんだが……。

それを阻止する方々が現れたんです。
鏡を手に入れてカミを滅ぼそうとする五瀬様。

鏡を手に入れて人を滅ぼそうとするニール様。
やはり正義のヒーローには敵がつきものなのですね。

いつから守護者は正義のヒーローになったんだよ……。

現象を終わらせて、もとの季封村に戻そうとする守護者のみなさま方、
玉依姫様の行動は正義です!

僕はみなさまのように特別な力はありません。

ですが、みなさまの背中を見て、少しでも力になれたらって
ずっと思っていました。

ガキがんなこと気にしてんじゃねぇよ。
おまえみたいなのが一緒に戦うなんて言われても、足手まといなだけだ。

ガキは家で俺たちの帰りをじっと待ってればいいんだよ。

遼様……。
いえ、遼様のお気遣いはうれしいですが、僕だっていつまでも子供じゃありません。

それに……頼りないですが、僕も男です。
護られるばかりじゃいられません。

……そうかよ。勝手にしろ。

はい!そうして、五瀬様、ニール様、玉依姫様の3勢力による戦いは苛烈を極め――
玉依姫様は何度も窮地に陥ります。

五瀬もニールも化け物みてぇな強さだったからな。

あいつにだけは怪我を負わせたくなかったんだが、
また傷つけちまった。

俺たちよりも傷ついて、それでも諦めずに戦ったあいつは……。

力の上では俺たちより弱いのかもしれねぇが、
心は誰よりも強かったんだろうな。

やっぱり玉依姫様は正義のヒーローですね。

正義のヒーローは苦難を乗り越えて、
最後には絶対に勝てないと言われていた敵に打ち勝つんです。

はっ。それなら確かに正義のヒーローかもしれねぇな。

あいつは五瀬とニールを退けて、
最終的には【陰の鏡】と【陽の鏡】を手に入れちまうんだからよ。

2枚の鏡を手に入れた玉依姫様は、
守護者の方々と力を合わせて鏡を破壊することに成功し――。

怪現象を解決なさったんですよね。

ああ。以上が【蒼黒の楔について】の説明だ。
俺たちの説明でわからねぇとこがあるなら、蒼黒の楔をやって確認しろ。

はい!遼様、本日はありがとうございました。
また機会がありましたら、よろしくお願いします。

……ああ。(くそっ、こいつといると調子が狂うな)

最後になりましたが……、
ここまで僕たちの説明を聞いてくださってありがとうございました。

本編で玉依姫様が僕たちに会いに来てくださるのを、
心よりお待ちしております。

……仕方ねぇから、おまえが来るのを待っててやるよ。
だから、できるだけ早く来い。わかったな?
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