これから鴉取真弘先輩様が【玉依姫と守護者】について説明してやるぜ。
耳の穴かっぽじってよーく聞けよ?

司会は犬戒慎司と、鴉取真弘先輩でお送りします。
先輩、今日はよろしくお願いしますね。

なんっだよ、慎司。
なんでおまえが仕切ってんだ?
ここは先輩に譲るところだろ?

す、すみません 。

わかればよろしい!
というわけで、慎司。
おまえが説明しろ。

え!? 
先輩が仕切って説明するんじゃなかったんですか?

いや、最初から先輩がでばっちまうのはよくねえだろ。
ここは後輩に譲ってやらねえとな。

(僕にしゃべらせて、後で同じ要領で自分も話そうって魂胆か。
 はあ。真弘先輩らしいや。)

あん? なんか言ったか?

いいえ、何も。では、玉依姫の説明から始めますね。
玉依姫とは【鬼斬丸】の管理と封印を司る者です。

おい、慎司。
鬼斬丸って言われてもわかんねえヤツがいるんじゃねえか?
まずはそいつの説明が必要だろ。

……真弘先輩にしては
すごくまっとうな意見ですね。

どういう意味だ、おいっ!?

いえいえ、深く気にしないで下さい。
鬼斬丸とは、世界を飲み込むほどの力を持った剣のことです。

鬼斬丸が解放されたら世界は間違いなく滅びる。
それを玉依姫ただ1人で封印してるんです。

鬼斬丸は玉依姫にしか封印できねえからな。
俺らが代わりに封印を、てわけにはいかねえんだよな。

昔から決まっていることですからね。
その代わり、僕たちには玉依姫を守護する力が備わっています。

こちらについては、玉依姫の説明が終わったら
真弘先輩に説明してもらいますね。

おう! 任せとけ!

はい。では、話を戻して……
玉依姫には鬼斬丸を封印する力の他に、カミを見る力が備わっています。

よく八百万のカミとかって言うだろ。
そこら中にいるが、霊力のあるヤツにしか見えねえんだ。

八百万のカミ様の他に、祀られなくなったカミ様も
玉依姫は見ることができるんですよね。

オボレガミってやつだろ?
玉依姫はカミの良し悪しを問わずに見ることができちまうからな。

ええ。
でも、玉依姫にはカミを常世に送る力があります。

悪しきカミに見つかっても、
きちんと常世に返せる力を持っているんですよね。

それは玉依姫としての力を自覚したら、な。

素質があっても自覚してねえんじゃ
オボレガミに見つかった瞬間に自分が常世行きだ。

先輩も最初はオボレガミに連れ去られそうになったって言ってましたもんね……。
自分の力を自覚するのって大事なんですね。

おう! 俺は生まれたときから自分の無限の力を自覚してたけどな!

さて、次は守護者の説明に行きましょうか!

俺の話は全力でスルーかよ!?

いえいえ。
真弘先輩のすごさは守護者の件(くだり)で存分に語ってもらおうと思ったんですよ。

ほう。よくわかってるじゃねえか、慎司。
よし、それじゃあ守護者について、この鴉取真弘様が説明してやるぜ!

……(ふう。真弘先輩が単純な人で良かった。)

守護者とは玉依姫を護ることを誓った異形の者たちの末裔のことだ。

守護者は1000年前からの契約で、
玉依姫を護らなければいけないことになっているんです。

ま、血の誓約には抗えねえからな。
最初は仕方なくあいつを護っていたが……、いつからだろうな。

あいつの姿を見てたら、自分の意思で
あいつのことを護りたいって思うようになってた。

はい。
僕も先輩の人となりを知っていくうちに……、守護者なんて関係なくなりました。

あいつを護って死ねるならそれも悪くねえとこの俺に思わせたんだ。
後にも先にもあいつくらいだろうな。

ですね。……って、
なんだかしんみりしちゃいましたね。

ここはドーンと守護者の力でも見せてこの空気を吹っ飛ばすか。

どうだ、これが鴉取真弘様の守護者の力だ!
慎司、おまえ言霊を使って俺の速度を加速させろ。

わ、わかりましたよ……。
【加速】!

守護者にはそれぞれなにかしらの異形の力が備わってるんだ。
俺の場合は【風】だな。

僕は言葉を操る力があります。
ただこの力も玉依姫との絆によって力の強さが左右されるんですよね。

玉依姫に信頼されてる者ほど、力が強くなる。

玉依姫を護るために備わった力だから、当たり前って言えば当たり前だよな。
うし、以上で守護者の説明は終わりだ!

ありがとうございます、真弘先輩。
(どうなることかと思ったけど、脱線せずに終わって良かったな……。)

今、何か失礼なことを考えなかったか?

まさか、そんなことないですよ!

……ならいいけどよ。おほん。
これで【玉依姫と守護者について】の説明は以上だ。

次回は【緋色の欠片について】を説明するぜ!

司会は拓磨先輩とケテルさんです。
次回も楽しみにしててくださいね!

ではでは、鴉取真弘先輩、犬戒慎司でお送りしました。
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