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どうすればいいのか分からなかった。
ただ少なくともはっきりしていることがある。

もう私は───彼に必要とされないということ。

鷺澤累
「…………」

私はやっとの思いで立ち上がり、彼から背を向けた。

部屋の扉はすぐそこなのに、まるで逃げ水のようにひどく遠く思える。

久世ツグミ
(……私はもう……離れるしか出来ないの……?
私が出来ることは……もう何も……)

振り返る勇気もなく、おそるおそる扉のノブに
手を掛けようとした時だった。

鷺澤累
「……駄目だ……!!」
久世ツグミ
「!?」
鷺澤累
「……駄目だ……僕の前から……いなくならないでくれ……っ」
久世ツグミ
「……累……っ」
鷺澤累
「……ごめん……っ」
鷺澤累
「ごめん、ごめん、ごめ……っ」
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