そんな会話を交わしながらも、
お社の傍にあるベンチに並んで腰掛ける。

でも日向先生は、紙コップの中の甘酒を
渋い表情で眺めていて……。

忍

「…………んぐ」

暦

「どうですか？」

忍

「……刺激が足りない」

暦

「……………」

暦

「え、おいしい？
それは良かったです！！」

忍

「おまえ、強引だな……。
ま、たまにはこういうのも悪くねえか」

暦

「おしるこも食べてみてください。
私が作ったんですよ」

ベンチの脇に置いてある
おしるこを差し出すと、
日向先生は含むように微笑む。

忍

「へえ……。ちゃんと家の手伝いしてんだな。
偉い、偉い」

暦

「……子供を褒めるみたいに言われても
全然嬉しくないです」

忍

「ははっ、怒るな怒るな。
そんな顔してんと、せっかくの慎ましやかな巫女姿が台無しだぞ？」

暦

「うっ……」

そう言われてしまうと、
こちらも強く出れない。

私は静かにため息をつくと、
手にしていた甘酒を再び口に含んだ。