気づいたら、唇を塞がれていた。
リリアーナ
(な……?)
しなやかな腕がするりと伸びてきて、
私の顎を無造作に捕まえたかと思うと、強引に引き寄せて。
視界いっぱいに――意外なほど端正な、
綺麗と言ってもいいような顔立ちが迫ってきて。
顔と顔が触れた。
何故だか少し甘い花の香りがして、唇に濡れた感触が伝わった。
リリアーナ
(な……、な……。)
楊
「…………。」
リリアーナ
(――なんなの、これ!?)
私を捕らえる手を振り払いながら、逃げるように顔を背けようとする。
リリアーナ
「やっ……!」
なのに何も叶わない。
リリアーナ
「ん、んん……!」
甘い毒をゆっくり流し込まれたみたいに、
頭がくらくらして、視界が白くなって、
思考が奪われていく――

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