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オトメイト『DAIROKU:AYAKASHIMORI』(略称:ダイロク)|ショートストーリー

Q:彼について聞いてみた


瀬見季継について悪虂王について白月について比良について湫について

Q:ご趣味は何ですか?
初出:SweetPrincess vol.29(発行 ヘッドルーム)


妖守組マカツヒ組キクツネ組アマツナ組ミツチ組
今日は兄の仕事ぶりを聞きに来ました
おや、珍しいお客さんだね。いらっしゃい、季尭くん
お? お前が瀬見の弟か
はい。いつも兄がお世話になってます
世話になってんのは俺の方だけどな。特にうちの統とかな……
まぁそれは仕事の範疇だからいいんじゃない?
なんだか色々とありそうですが、妖守として常磐さんと高尾さんから見た兄はどんな感じなんですか?
……そこの常磐より甘いとはいえ、この上司にこの部下ありっつー感じか
おやおや……
え、えっと、常磐さんがどうかはわからないんですが、うちの兄は人をからかったりしがちなんですけど、そういうこととかですかね……あはは……
あー、それもあるが、うちの統に仕事させる手腕は常磐にも負けねぇな
……その統がどれほど仕事をしないかわからないんですが、兄さん割と言葉巧みに丸め込むの上手いですからね……
誰に似たんだろうねぇ
絶対お前だろ
そうなのかもしれないですね。兄さんは常磐さんを尊敬してますから
おや、それは私が言葉巧みに丸め込む師匠ってことかな?
えーっと、その件については俺は明言しないほうが後々のためかなぁなんて……
それ、なんつーんだ、ぱわ、とかなんとか
パワハラのことですか。それ、もしかして……
ご名答。お前の兄貴が教えてくれたぞ
……季継を今すぐ呼び出したほうがいいかな
それも、パワハラになりませんかね……えっと、割と強引ですけど、常磐さんは初対面、兄が大学生の時だって聞きましたけど
あぁ、そうだよ。彼がまだ学生の時に第六に来る由緒ある陰陽師の御曹司を見に行った時にね
……含みのある言い方するなよ。怖いわ……
あはは。別に他意はないんだよ。
ただ、本当に瀬見先輩の息子が入庁するって聞いてね。気になっただけなんだよ
あ、そうですよね。
常磐さん、父と仕事してたんだった……
あー……あの瀬見の息子なのか……
その言い方すごく話を聞きたくなりますが、今日は兄の話を聞くために来ているので、後日改めて伺いますね
瀬見先輩は色々武勇伝があるからねぇ……と、その話は後日ということで、季尭くんから見て、季継ってどんなお兄さんなのかな
そうですね……。
兄さんをよく知らない人からしたら、たぶん完璧で非の打ち所がないエリート街道まっしぐらの御曹司、なんでしょうけど……
言動が胡散臭いわ、計算高くて安易に近寄ろうもんなら手のひらで転がされるってのは妖守のあいつを見てると思うが、違うのか?
そうですね。大事にしたいと思ったらとことん守ります。それはもう、過保護なぐらいに。
それに、ちょっと子供っぽいところもあるんですよ
ほぉ? 意外だな
そうだねぇ。
コーヒーは苦すぎるから飲まないっていうのは確かに子供っぽいかも
でも、コーヒーは飲まないのに、カフェラテは飲むんです。
しかも、砂糖は入れないんですよ
『こぉひぃ』ってのはこの前出してくれた黒い液体か?
そうだよ。カフェラテはミルクで割ったもの
あれに砂糖を入れるのは、俺も反対だ。
抹茶のようで菓子に合ういい飲み物だった
あはは。高尾さんは無糖派なんですね
甘い菓子が好きだからな。
それに合わせるのに、甘い飲み物だとくどいだろう
……妖守の影響なのか、味覚が人間みたいになってるねぇ
何言ってんだ。
俺は昔から信仰の対象で、捧げものやらで人間の食べ物を食べてきたんだ。そこらの妖とは年季が違う
えっと、話が逸れてますね?
あぁ、すまない。季継の味覚が子供っぽいって話だったね
はい。子供っぽいといえば、兄さんの好きな食べ物駄菓子なので、間違ってないですよ
ん? 季継の好物は季尭くんの手料理だって聞いてるけど、違ったかな
えっ!? 兄さんそんなこと言ってるんですか?
もう……恥ずかしいなぁ
飯作れるなんてすげぇな
ナカクニには食堂もあるし、現世に戻って食事もできるけど、自炊ができるのは色々と便利だね
常磐さん!?
別に俺は必要に駆られてというか、子供のころ母と妹がお菓子を作っているのを手伝ってから、作るのが楽しくなって、それで兄さんも妹も喜んでくれるからいつの間にかうまくなってただけで……
……っ……くっ……あははははっ!
ふっ……くっ……ははっ!
っ!俺の話はいいんです!
兄さんのこと、ほかに聞かせてください
いや、悪い悪い。
あまりにも必死に弁解してるからつい笑っちまった。仲良いんだな
そうかもしれません。
子供のころに少し喧嘩をしたことはありますけどね
そうだねぇ。面倒見が良くて、気が利く優秀な妖守。
この仕事について言えば、家柄もいいし、将来有望なエリートってところかな
だが、事務的に俺たちを扱うことなく、個としてみるあたり、あいつにとって俺たち妖は人間とさほど変わらないんじゃないか?
そうだねぇ。そんな男、だよ
……そう、なんですね
まるで自分の事みたいに喜ぶんだね
……はい。自慢の兄ですからね
常磐、こういうの、ぶら……
ブラコン。ブラザーコンプレックス、だね
いや、これはそういうんじゃなく……!
ははっ。そうだね。家族を褒められて素直に喜んだだけ、だよね?
身内びいきか
これ以上は自爆しそうなので、現世に帰ります!
お話聞かせていただいてありがとうございました!
今度お礼に高尾さんが好きなお菓子を作って持ってきますね
……その時は、ちゃんと季継の分も持ってきてくれると私が平和だから、お願いしたいな
あいつはどんだけ弟の飯に飢えてんだ……
常磐さん、これ以上いじめないでくださいよ!
ははは。本当のことだから、いじめたわけではないよ
……楽しそうにからかってるのは瀬見兄と一緒か……