愛日梨
(こんなにたくさんの本があるんだし、
きっと一冊くらいは見つかるよね)
愛日梨
「えっと、ここまで調べたから、
次はこれかな?」
本棚から本を一冊抜き出そうと手を伸ばすと、
カルミアがぎゅうっと私にしがみついてきた。
カルミア
「お姉ちゃん……」
愛日梨
「カルミア、どうしたの?」
カルミア
「ぼく、なんだかくらくらしてきちゃった」
愛日梨
「えっ、大丈夫? 具合が悪い?」
カルミア
「本がいっぱいありすぎて、 探してるうちにくらくらしちゃった」
愛日梨
「めまいがしたのかな……? 部屋で休む?」
カルミア
「ううん。まだ、虚の世界の本を
見つけてないし、お姉ちゃんにぎゅってしたから、
少し元気になった」
愛日梨
(カルミア、本を探すのを
一生懸命頑張ってくれたんだろうな)
私は本を探す手を止め、カルミアの頭をそっと撫でた。
愛日梨
「カルミアは頑張り屋さんだね」
カルミア
「えへへ……」
愛日梨
「あんまり無理はしないでね。辛くなったら
すぐに言って」
カルミア
「うん、ありがとう。でももう大丈夫。
お姉ちゃんとこうしてると、すごくほっとする」
愛日梨
「そっか。良かった」
レイン
「…………」
ふと顔を上げると、
レインが本を片手に持ったまま、
じっとこちらを見ていることに気がついた。
愛日梨
「レイン?」
レイン
「……いや、なんでもない」