Story

第三夜 アラビアン・ナイト

シャナーサ王国の国王――“ライザール・シャナーサ”

富国にし、会議を開催させた立役者であるライザール王は
自身の政策の強引さに一部の貴族らの中に反発が芽生え初めているのを感じていた。
彼らの反発を抑える手段は、ただ一つ。国の有力者の娘との『結婚』だ。

――会議1日目の夜。

各国の王子を歓迎する宴でライザール王は自身の婚約者を発表する。
彼女が、今日の昼に入れ替わっていることも知らずに。

「私を誘惑してどうする気だ。
だが、その程度では全くそそられないな。
――もっと私をその気にさせてみろ」

――時は少し遡って、前日。

《ショーサロン・カマル》の踊り子“舞妖妃”に、密偵としての依頼が舞い込む。
それは、王の婚約者を肩代わりして欲しいというもの。
駆け落ちを計画する婚約者は、逃げる間の時間稼ぎを依頼しに来たのだ。

その依頼には、“舞妖妃”すらも知らないもう一つの目的があった。
――暗殺を成功させるために、ターゲットを骨抜きにするというミッションだ。

「チッ……アイツの手なんか借りなくても十分だ。
アイツが誘惑する必要なんかない。……先に、オレが殺してみせる」

女の愛し方が強引なターゲットと、ただ一人の女のみを愛するクライアント?との
アラビアン・トライアングル

共犯の仮面に溺れるのは誰か――