サラ(主人公)
「……………………」

……落ち着かない……!

ソファで丸くなったアンを横目に、
私はちらちらとマエルさんを見やる。

マエル
「すー……すー……」

私が来たことにまったく気づかず、
幸せそうに眠りこけているマエルさん。

吸血鬼は墓地の棺桶で眠るもの、
なんて言い出したのはどこの誰だろう。

無防備な寝顔を晒す彼の顔が、
年齢に反しとても幼く見えるせいか。

まるで今の彼は公園で居眠りをする、
街の少年のようにも見える。

というか、マエルさんって……。

サラ(主人公)
「よく見ると可愛い系の顔かも……?」

普段そんなまじまじと見たりしないし、
今がある意味チャンスかもしれない。

なんて、寝ているのをいいことに
私がじっと見つめていたところで。

マエル
「…………んう……?」
サラ(主人公)
「!!」

気づかれたと思って固まる私を他所に、
彼は目を閉じたまま手を雑に振った。

マエル
「んだよ……アン……。
もう少し、寝かせろって……」
アン
「……ワフン?」
マエル
「……うう~……」
サラ(主人公)
「あ、アン。ほらこっち来て。
無理に起こさなくていいから……」

と、私がアンを抱え上げようと、
手を伸ばしかける、と。

マエル
「……わーった……わーったって……。
撫でてやるから……ほら……」

突然マエルさんの手が伸びてきて、
私の髪にふわりと触れる。