???
「――おまえが、修道院の娘か」

薄い月明かりの中に佇む影が、
ひとつ、ふたつ……全部で5つ。

いつの間にかホール中央に歩み出ていた私を、
彼らは睥睨するように見下ろしていた。

そしてその中のひとつ、
黄金色の髪に月光を絡ませた影が、
光を吸い込むような瞳で私を見やる。

サラ(主人公)
「この屋敷の方、ですよね?」
???
「このプルガトリウムの館に住んでいる、
という意味ならそうだな」

声の若さからして、執事か何かだろうか。

瞳に魅入られ呆然としていた私は、
慌てて居ずまいを正した。

サラ(主人公)
「私は……。
ヴィスニュルの修道院から参りました、
サラ・デュドネと申します」
サラ(主人公)
「お返事もないまま屋敷に踏み入ったこと、
どうかお許しください」
???
「構わん。それで、何用だ?」
サラ(主人公)
「この度はベレジンスキー伯爵に
大切な用事があってここに参りました」
サラ(主人公)
「何卒、伯爵様にお取次ぎをお願いします」

そう言って、私が頭を下げると。

???
「ふふっ……うふふふふふ」

佇む影のひとつふたつから、
漏れるような笑いが飛び交った。

???
「――だ、そうだぜ?
威厳が足りてないんじゃないか?」
???
「言ってくれるな。その自覚はある」
サラ(主人公)
「え? あの、何か失礼を……?」
???
「気にするな。こちらの話だ」
???
「とりあえず、我々が話を聞きましょう。
伯爵に用事というのはどのような?」

その問いかけは疑問というよりも、
知っているのに確認しているかのようで。

問いと同時に暗がりの中にいる彼らが、
面白がるように耳を澄ませたのがわかる。

だから私は震える脚を隠すように、
スカートを広げて膝をつきながら……。

――神よ、どうかご加護を。

がくがくと噛み合わない指を、
必死に組み合わせて言葉を吐き出した。

サラ(主人公)
「伯爵様に、お願い申し上げたいのです」
サラ(主人公)
「ヴィスニュルの街とそこに住まう人々を、
フランス軍の手からお守りください、と」

……………………。

永遠のように長く感じる沈黙。

それに耐えかねた私は、
非礼と知りつつも震える声で言葉を重ねる。

サラ(主人公)
「お願いします。
どうか領主様にお取次ぎを――」