リリアーナ
「……ねえ、アンリ」
アンリ
「?」
リリアーナ
「仕事のときは眼鏡をかけるのね」
アンリ
「……ああ。見せるのは初めてだったか。
似合わない?」
リリアーナ
「う、ううん! 似合うわ、すごく!
今も見蕩れ、て――」
リリアーナ
「――――」
アンリ
「……見蕩れてしまった?」
リリアーナ
「っ……」
リリアーナ
(ちょっと、ずるい……)
アンリはいつも通りの態度なのに、私ばかりドキドキしてしまう。
言葉に詰まる私を見て、彼が口を開く。
アンリ
「私は少し、……目が悪い」
リリアーナ
「…………」
アンリ
「……けれど、日常生活に支障はない程度だし、
眼鏡がなければ仕事ができないというほどでもない。だから……」
アンリ
「君の気に障るようなら、外してもいい」
リリアーナ
「あ、ううん。そんなことない。
ただ気になっただけで……」
リリアーナ
「その……」
リリアーナ
「……いつもと違うアンリも素敵だなって、思っただけなの」
私の返答に、彼が軽く目を瞬いた。