リリアーナ
「ニコラ!」
悲鳴のような声でその名を呼んで、私は彼に駆け寄った。
リリアーナ
「あ……!」
今にも倒れてしまいそうな彼の身体を抱き留めるようにして支える。
深い傷を負ったニコラは、ぐったりとしていた。
ニコラ
「リリィ……」
ほとんど身体に力が入らないらしく、ふらつく彼が倒れないように、力を込める。
ぬるり、と嫌な感触が手に伝わった。
リリアーナ
「!」
出血がひどい――このままでは危険だ。
リリアーナ
「ニコラ、すぐにお医者様を――」
ニコラ
「遅くなって……、ごめん、ね……」