しっかりとした足取りを見れば彼自身には傷ひとつないと、すぐにわかる。
リリアーナ
「あ……」
【誰か】が殺されたかもしれないというのに、彼が無事だった事実にホッとしてしまう。
「…………」
安堵と罪悪感を覚えた私の内心など知らず、楊は無遠慮に距離を詰め――
リリアーナ
「っ……!」
私の髪を掴み、無理矢理に上向かせてそのまま乱暴に口を塞ぐ。
噛みつくような激しいキスに抗いたいのに、身体が上手く動かせない。
「伽の仕方はずいぶん仕込んでやったろうに。
息継ぎだけは下手なままだ」