無駄のない動きで青年を追い詰め、喉元に武器を突きつける。
あくまで牽制が目的なのか、その刃は青年を傷つけてはいなかった。
レオ
「なっ……!?」
青年は目を見張り、驚きの声を上げる。
壁際に押し込まれた彼には、もはやわずかな身動きも許されていない。
オルロック
「……街中で発砲するのは、感心しない。
マフィアらしくはあると思う、けど」
感情を殺してオルロックが淡々と伝えると青年は動揺を滲ませながらも怒鳴る。
レオ
「ば、馬鹿にしてんのか、テメェ!?」
オルロック
「そんなつもりはない。だけど、あなたがいきなり撃ってきたことに、少し怒ってる」
オルロック
「おれには当たらないから、大丈夫だけど。
……誰かが、怪我してたかも」
レオ
「っ……。」
オルロック
「このまま退いてほしい。
おれは、あなたを殺すつもりはない。
あなたにも、おれたちは殺せない。諦めて」
オルロックの冷静な眼差しとは対照的に、青年の双眸には強い怒りが浮かんでいた。
レオ
「何言ってんだ、テメェ……!?
オレのことなんて、さっさと殺せばいいだろ!」
レオ
「――カポやニコラさんを殺したみたいに!!」