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猫の日
2013.2.25
ケット・シー
皆様はじめまして、私はケット・シーと申します。
皆様は不思議な力をお持ちのようで、私の言葉がわかるようですね。
ケット・シー
私の声も姿も、
魔力を持たない人間には正しく認識することができないのです。
どうやら、普通の猫に見えてしまうようですね。
ケット・シー
さてさて、普段はマーリン様が案内役をしておりますこの日記ですが、
今日は私、猫の王たるケット・シーが皆様のご案内役を務めさせて頂きます。
よろしくお願いいたします。
ケット・シー
それはなぜか、という事になりますが、
皆様、去る2月22日は何の日かご存知でしょうか。
ケット・シー
にゃあ、ニャア、ニャー
ケット・シー
そう、猫の日なのです。
というわけで今回は私がはせ参じたというわけなのです。
ケット・シー
今日は猫の姿で王宮を散策してみようと思いますので、
お付き合いいただけますでしょうか。
ケット・シー
では、行きましょう。
――王宮内庭園――
ケット・シー
ここは王宮内にある庭園です。
ここにはマーリン様の魔法がかけられていて、
四季の花々が一年を通して咲いている、不思議な庭園なのです。
ケット・シー
あ、誰かいますね。
あれは……メドラウト様。
少し様子を伺ってみましょう。
メドラウト
……はぁ
メドラウト
あの女さえ来なければ、僕が聖剣に選ばれていたかもしれないのに……。
メドラウト
あんな奴、この王宮からいなくなっちゃえばいいんだ。
そう、いなくなっちゃえば……。
メドラウト
……なんで僕があの女の事で悩まなきゃならないんだよ。
……くそっ!
ケット・シー
……!
ケット・シー
メドラウト様、お悩みになられる気持ちは分かりますが、
庭園の花にあたるのはよくありません
ケット・シー
これは少しお仕置きが必要ですね
ケット・シー
にゃんにゃにゃあ!
メドラウト
ん?なんか今背中に寒気を感じたような……。
ケット・シー
これでお仕置き完了です
ケット・シー
何もしていないじゃないかって?
いえいえ、ちょっと念を掛けたのです。
すぐにでも効果があらわれると思うのですが……
ケット・シー
後で様子を見に行くとして、別の場所を回ってみましょう。
――騎士の塔 広間――
ケット・シー
円卓の騎士の皆さんが部屋を持つ騎士の塔に来てみました。
おや?何か揉めているようですね。
様子を見てみましょう。
ランスロット
パーシヴァル、もっと騎士としての自覚を持てと、
何度も言っているだろう?
パーシヴァル
いやぁ、分かってはいるんだけどさぁ、つい、ね!
ランスロット
つい、ではない。
まったく、円卓の騎士ともあろうものが、厨房の料理をつまみ食いするなど……。
パーシヴァル
悪かったよ、もうしない!
……とも言い切れないけど、えーっと、なるべくしないようにする!
ケット・シー
なるほど、パーシヴァル様がつまみ食いを。
しかも、あまり反省していない様子。
これは、少しお仕置きが必要ですね。
ケット・シー
にゃんにゃにゃあ!
パーシヴァル
……んんっ!
ランスロット
どうしたパーシヴァル?
まだ私の話は終わっていないぞ。
パーシヴァル
い、いや、なんか背筋がゾクっと。
ランスロット
む、風邪か?
年中そんな恰好をしているからではないのか?
パーシヴァル
いや、これは関係ないって!
……たぶん
ケット・シー
ふふふ、すぐに効果があらわれると思いますが、他の所を回ってみましょうか。
――その頃、メドラウトは――
メドラウト
母様、もどりましたにゃ。
モルゴース
あら、おかえりなさいメドラウ……ト。
メドラウト!その恰好はどういうつもりなの?
メドラウト
?
にゃにかおかしいですかにゃ?
モルゴース
……ふざけているの、メドラウト?
もう貴方も騎士なのですよ、もっとしっかりなさいな。
メドラウト
僕はふざけているつもりにゃどにゃいのですが。
モルゴース
全く、どうしたというの?
そんな恰好をして、へんな言葉づかいも。
とにかく、その頭の飾りを取りなさい。
メドラウト
え?にゃんのことですか、母上。
僕は頭になんてにゃにも……。
モルゴース
いいかげんになさい!
自分で取る気がないのなら、私が取ります!
こんなもの!
メドラウト
いたたたたた!
いたいですにゃ、母上!
耳を引っ張らにゃいでくださいにゃ!
モルゴース
なんてことなの……これ、取れないわ。
メドラウト
お言葉ですが、引っ張っても耳は取れにゃいと思いますにゃ。
モルゴース
自覚が……ないのね。
これは、あの男の仕業かしら……。
メドラウト、ついてらっしゃい!
メドラウト
にゃあ!
――その頃、パーシヴァルは――
パーシヴァル
あー、ランスロットにこってり絞られてしまったにゃ。
つまみ食いしたくらいで、こまかいんだよにゃー。
パーシヴァル
あ、ガラハッドだにゃ。
にゃー!
ガラハッド
……。
パーシヴァル
にゃ?どうしたんにゃよ、ガラハッド。
ガラハッド
い、いや、僕は世間には疎いから分からないんだけど、それ流行ってるの?
パーシヴァル
へ?にゃにが?
ガラハッド
だから、頭に付けてるその飾りと、へんな言葉づかいだよ。
パーシヴァル
にゃ?飾り?
おれはにゃんにもつけてにゃいぞ。
それに言葉づかいも普通だと思うんにゃけど。
ガラハッド
うっ……からかわれてるのか、
本当に自覚がないのか、判断が……つかない。
パーシヴァル
にゃんだよ、へんな奴だにゃー。
ガラハッド
ぼ、僕はどうすれば……。
あ、そうだ!
パーシヴァル、ちょっと付いてきて!
パーシヴァル
にゃ?引っ張るにゃって!
――ガラハッドの部屋 鏡の前にて――
パーシヴァル
にゃ……にゃんだこりゃああああああああ!!
お、俺の頭に猫みたいな耳がついてるにゃ!
ガラハッド
……本当に自覚なかったんだね。
と、なるとこれは一体どういうことだろう。
パーシヴァル
どうにかしてくれにゃあ、ガラハッドぉぉぉ!
ガラハッド
そういわれても、原因が分からない事には……。
あ、ちなみに自覚ないと思うけど、言葉づかいも変になってるから。
パーシヴァル
にゃんてこった……。
ガラハッド
うーん、まず目的がわからない。
こんなことをして一体何が……。
……あっ。
パーシヴァル
にゃにかわかったのか?
ガラハッド
分かったよ。
初めから、目的なんてないんだ。
それで筋が通る。
あの人なら、面白いからっていうだけで理由になるんだ。
パーシヴァル
にゃんのことか、俺にはよく分からにゃいけども……。
ガラハッド
いいから、付いてきて!
パーシヴァル
え、にゃあああ!
だから、引っ張るにゃって!
――マーリンの部屋――
マーリン
ふんふふーん♪
今日は久しぶりに政務もないし、ゆっくり出来るよ。
ガラハッド
マーリン!!
マーリン
おやおや、ノックもなしに入って来るなんて、
女性の部屋に入るときには絶対にやってはダメだよ?
ガラハッド
マーリン!
ちょっといたずらがすぎるんじゃない?
マーリン
へ、なんのこと?
ガラハッド
とぼけたって無駄だ。
これだよ。
パーシヴァル
マーリン、俺がにゃにしたっていうんだよー。
マーリン
なんだい、これは?
世間ではこういうのが流行ってるのかい?
ガラハッド
あくまでとぼけようっていうんだね。
でも、こんな事ができるのは貴方しか考えられない。
マーリン
そ、そんなこと言われても知らないものは知らないんだよお。
モルゴース
嘘おっしゃい!
私のメドラウトをこんな風にして、許されると思って?
マーリン
って、ええ!!
モルゴース様?
メドラウト
母上、どうしてしまったのですにゃ?
いきなりマーリンの部屋に連れて来るにゃんて。
ガラハッド
これは……。
メドラウトも?
メドラウト
にゃにがにゃ?
ガラハッド
……メドラウト、そこの鏡で自分の姿を見てみるといいよ。
メドラウト
鏡で?にゃんでそんなこと?
メドラウト
仕方ないにゃ、鏡をみればいい……んだ……にゃ
って、にゃああああああああああんんだこれ!!
ガラハッド
やっぱり自覚がなかったんだね。
あ、ちなみに言葉づかいも変になってるから。
メドラウト
にゃんてことにゃ……。
パーシヴァル
マーリン、いたずらにしてもこれはやりすぎだにゃ!
早く元にもどせにゃ!
モルゴース
本当なら死刑にしたいところだけれど、
今すぐメドラウトを元に戻すなら、不問にしてもいいわ。
はやく戻しなさいな。
マーリン
(こ、これは、どういうことだ!
今回は本当に私は何もしていないのに!)
ガラハッド
マーリン!
モルゴース
マーリン
パーシヴァル・メドラウト
にゃーりん!!
マーリン
うわああああ!!
誰か助けてえええ!!
ケット・シー
ふふふ。
マーリン様もこれで少しは普段の行いを反省してくれるといいのですが。
ケット・シー
そう、これは私の仕業なのです。
パーシヴァル様とメドラウト様には、
お仕置きとして、猫の耳と尻尾、そして言葉づかいをプレゼントして差し上げました。
ケット・シー
でも、心配しなくても大丈夫ですよ。
しばらくしたら元に戻りますから。
ケット・シー
本当はマーリン様にも普段のいたずらのお仕置きに、
猫の呪いを掛けたかったのですが、
あの方の魔力は桁違いですから、恐らく私の呪いになどかからないのです。
ケット・シー
そこで、ちょっと仕組んでみた、というわけです。
少しやりすぎな気もしますが、
猫の日ということで、許してくださいね♪
にゃあ!(では!