刈稲
「お集まりの皆さーん!
本日の司会を務める刈稲です!」
刈稲
「これより我等が死菫城の縁殿と、
【白】のオランピア殿の婚儀を執り行います!」
従業員
「いいぞ、刈稲! 頑張れ!」
従業員
「任せたわよ!」
刈稲
「まずはやはりこれ! 愛の杯交換です!」

私と縁の前に、[ひさご]を二つに割った特別な杯が置かれる。
それに恭しく刈稲が酒を注ぎ──

まずは、それぞれが自分の杯のお酒を半分だけ飲む。

オランピア
(お酒って……こんな味だったのね)

それは熱く、少し辛く、私の舌や喉を焼く。
でも決して嫌な感覚ではない。

オランピア
(無理して飲まなくても大丈夫だよ、って
縁は言ってくれたけど……美味しいかも)
刈稲
「ではいよいよ! 杯を交わして下さい!」

半分残った酒を零さないよう、
ゆっくりと腕を交差し──

「この杯をもって、【紫】の縁は
【白】のオランピアを僕の妻とする」
オランピア
「この杯をもって、【白】のオランピアは
【紫】の縁を夫とする」

そして今度はお互いの杯の酒を、少しずつ味わう。

オランピア
(これが黄泉の婚姻……これで私は……
黄泉の主の妻となる)
刈稲
「皆さんも、二人の末永い幸せを祈って下さいね!
おめでとう、縁! オランピア!」

幸福に浸りながら、私は最後の一滴を飲み干した。