- 縁
- 「聞こえてたよね? まさかこんな日が来るなんて!」
- オランピア
- 「ええ、もちろん聞こえてた! おめでとう!」
『地獄太夫』の顔しか知らない者が今の彼を見たら、
仰天するだろう。
それくらい、彼は全身で喜びを露わにしていた。
- 縁
- 「いきなり彼が来て身構えてしまったけど……
本当に良い報せだった!」
きつく私を抱きしめるその力に、
彼の興奮が滲んでいる。
- オランピア
- 「そうなの、私も実は疑って……
でも、何て佳い日なの、本当に良かったわね」
彼を抱きしめ返しながら、私まで興奮してくる。
- オランピア
- 「まさか……貴方が同胞と会える日がくるなんて……」
- 縁
- 「大丈夫かな、これは夢じゃないよね?」
- オランピア
- 「夢じゃない、大丈夫よ。
でも、首席で合格なんて凄い子ね」
- 縁
- 「だよね、僕も鼻が高い……いや、親でもないのに
おかしいか」
- オランピア
- 「そう考えるのも当然よ、大事な仲間だもの」
- 縁
- 「名前しか知らないんだ、一体どんな子だろう」
- オランピア
- (うふふ、本当に嬉しそう)
- 縁
- 「もしかして占いの『波乱』はこれだったのかな、
だとしたら凶どころか素晴らしい吉だよ」
- オランピア
- 「そうよ、きっとそう」
嬉しそうな彼を見ながら、また愛しさが増す。
こんな喜びを分かち合えることが、とても幸せだった。
- 縁
- 「ああ……困ったな、まだ信じられない」
- オランピア
- 「なら、頬をつねりましょうか?」
- 縁
- 「それよりも……ここの方が嬉しいかな」
- オランピア
- 「ふふ、ご機嫌ね」
- 縁
- 「そうだね、我ながらちょっと浮かれ過ぎだ」
- オランピア
- 「沢山浮かれていいのよ、こんな素敵なことが
起きたんですもの」
- 縁
- 「……早く、君も【白】の同胞に出会わせてあげたい」
また唇を重ねながら、彼が囁く。
- 縁
- 「正式な婚姻を結んだら、すぐに子を」
形のいい指が私のリボンにかかる。
- オランピア
- 「駄目よ、今日はここまで。
これから真珠舎で授業なの」
- 縁
- 「それは大変だ、とてもこんな色の髪で先生なんて
出来ない」
- オランピア
- 「そうよ、だから……離して」