【黄】の侍従
「さぁ、着きましたよ。お二人とも……本当に、
本当に……おめでとうございます」
オランピア
「有難う。貴方にも色々助けてもらった。
これからもよろしくね」
【黄】の侍従
「はい、もちろんですとも」

玄葉が先に馬車から降りると、
広場に拍手が広がった。

みんなの顔に、不安の色はもうない。

たった半年──その短くも長い間に、
彼がどれほどひたむきに【黄】を案じたか。

彼等はそれを見ていたのだから。

玄葉
「オランピア、ほら」
オランピア
「……!」

割れんばかりの拍手と、祝福の声。
嬉しいけれど、これはちょっと恥ずかしい。

でも──今日、私は確かに彼と結ばれるのだ。

オランピア
(どうか……みんなの前で髪が染まりませんように)

玄葉の力強い腕を感じて、
密かに私は焦っていた。

彼の色に染まった私は──彼にしか見せたくない。

島民
「おめでとうございます!」
島民
「お似合いですよ! 素敵です!」
島民
「おめでとうございます、お幸せに!」
島民
「玄葉様、オランピア様、お幸せに!」
オランピア
「玄葉、こんなことして……重くない?」

こっそり尋ねると──

玄葉
「何なら道摩殿の前まで抱えていける」
オランピア
「えっ! それは……その、恥ずかしいから……」

言葉通り、彼は私を抱えたまま歩き出してしまった。

オランピア
(恥ずかしい……けど)

私は何て──何て、幸福なんだろう。