沢野井:(屋上からグラウンドに向けて咆哮)
発売記念ショートショートのコーナぁあああ!!

木野瀬:……びっくりするぐらい昔の発売記念そのままですね。
場所が部室から屋上に変わってるだけ、
まだ大分マシですけど。

  篠原:なるほど。遂にネタギレということですか。

沢野井:違う!違うぞ、篠原涼太くん!!
これは【初心忘れるべからず】という、有難き先人の教えに則り、
我々も今一度科学部というドラマティックでエキサイティングな、
ハートフルストーリーを振りかえってみようではないかという、この僕の粋な計らいなのさ!!

  浅浪:ハートフルっていうか、ハートが震えるよ。
お前のとんでもない実験は毎度毎度心臓に悪ィんだよ……。

沢野井:うむ!如何様にとってくれても結構!!
僕のサイエンスソウルに感動し、胸震わせるがいいさ!!
ふはははははははははは!!

  浅浪:恐ろしいポジティブシンキングだな、オイ。

カガハル:もー、部長のワケわかんない話はどうでもいいんすよ。
そんなことより、今日はもっと大切なことがあるでしょう!?
【夏空のモノローグ portable】が発売されたんですよ!?

沢野井:確かにそれも大切だが、そんなことよりとはどういう意味だね!?

  浅浪:カガハル……
お前の言いたいこともわかるけどよ。
真実は時に人を傷つけるからな、お前はもう少し言葉を選ぶべきだぞ?

沢野井:…………。

  浅浪:あーほら、沢野井泣いちゃったじゃねえか。

  篠原:先生。たぶん、先生が部長にトドメをさしたんだと思いますが……。

木野瀬:はいはい、部長泣いてないで。
宣伝しなきゃいけないんでしょう?
頑張りましょうよ。

沢野井:うう、木野瀬一輝くん……!!
顔は鬼だが心は仏――これこそまさに!!
ギャップ萌……というやつだな!?

木野瀬:まあ反応はいつものことなんでスルーしますけど、
どこで覚えたんですか、そんな単語……。

沢野井:無論!
乙女ゲーをプレイし続けたら、自然と覚えてしまっただけだ!!

カガハル:ええ!?
部長、まだやってたんすか!?

  篠原:ああ……また熱中癖が出たんですね。
飽きっぽいくせに、一度興味持ったらとことん極めますよね、部長って。

沢野井:ふむ!恋愛における男女の機微を学ぼうかと思ってな!
実に有意義な時間を過ごせたと自負しているよ!!

  浅浪:恋愛における機微ねえ。
まあ沢野井だって、これでも攻略対象だからな。
そういうのは勉強しておいても損はないんじゃね?

  篠原:間違った方向に才能を使う未来が見えますけどね。

木野瀬:ああ……例えば、
雨が降ってきたら傘を差しだすんじゃなくて、発明品を使って雨雲自体吹き飛ばしそうだよな。

カガハル:あ、あり得ない――
って言いきれない所が怖い……!!

沢野井:なんだね!?それのどこが間違いだというのだ!
結果的に女性が濡れるという被害から救っているのだから、問題はないはずでは!?

  浅浪:無茶苦茶だな……
ドン引きされてBADエンドへ直行だわ、それ。

沢野井:なんと……!?
む、むぅ……奥が深いのだな、恋愛の世界というのは……。

木野瀬:それで?
宣伝っていうのは何をするんですか?
今回の発売記念SSには【あいつ】も来てないし、なにか考えはあるんですか、部長。

沢野井:ふむ、当然だ!!
僕に任せておけば安心・安全・安泰だぞ!!
まずはこのブログを見ている者のPCを僕が開発したコンピューターウイルス
【サワノイダー・ウィーッス】に感染させる!!

  浅浪:え、そこはウイルスじゃねえの?
なにそのコンビニのあんちゃん的な語感。

木野瀬:ノリは軽いですけど感染とか穏やかじゃねえし……。

沢野井:【ウィーッス】は感染したPCの光加減を操作し、閲覧者の心理を変化させる!
それは最終的に各種通販サイトへと閲覧者を誘導!
さらーに!無意識のうちに『購入』ボタンを――!!

カガハル:要は洗脳じゃないっすか!!

  篠原:いつも通りといえばいつも通りですが、完全に犯罪ですね。
先生の教師生命も今日で終わりか……。

  浅浪:!?

沢野井:まだまだ効果はそれだけではないぞ!!
更に購入後周囲にの人間にまで、絶え間なくオススメを――!!

  浅浪:浅浪ぱーんち!!

沢野井:イタァイ!?
な、なにをするのだね浅浪顧問!?
僕の宣伝計画になんの不満があるというのだね!?

  浅浪:……はっ!?
わ、悪ぃ。急に給料全額カットとかいう幻覚が目の前に出てきたからよ……。

  篠原:先生の悲しい幻覚はおいておくとして――
部長、その宣伝方法には些か問題がありますから、普通に宣伝をしませんか?

沢野井:普通だと?
むぅ、効果が保証されるというならば構わないが……
それはどういった方法なのだね?

  篠原:そうですね……
僕たちはせっかく攻略対象な訳ですし、自らのアピールをする形でいいんじゃないですか?

カガハル:俺たちの魅力――それすなわち、作品の魅力ってことだな!?

木野瀬:なるほど……それは確かにいいかもしれないな。
作品のアピールとして、正しい形のような気がする。
部長、どうですか?

沢野井:……ふむ!その意見、一理ある!
よかろう!この僕の素晴らしき宣伝の代替案として、バッチリ採用しようではないか!!

  篠原:納得していただけたようで、なによりですよ。

  浅浪:アピールねえ。
やるのはべつに構わねえが、誰からやるんだよ?

木野瀬:たまには先生からやってみたらどうです?
年長者なんだし。

  浅浪:え、俺かよ……。

  篠原:そうですね。ここは教師として、大人として、手本を見せるつもりで先陣を切り開いてもらいましょうか。

カガハル:そうだそうだー!

沢野井:うむ!浅浪顧問、君のアッピールに我々土岐島高等学校・科学部の未来がかかっているのだ!
全力で頑張りたまえよ!!

  浅浪:おおお……
超プレッシャーかけてきやがったよ、こいつら……。
うーん、そうだなあ。アピール、アピールか。

木野瀬:かっこいい謳い文句とか、言えばいいんじゃないですかね?

  篠原:自らのルートを象徴する感じですね。
確かに、いい提案だと思います。

  浅浪:ふむ……。

カガハル:おお!先生が真剣に悩んでる……!
普段はへろへろでよれよれなダメ教師代表のような、あの浅浪先生が……!!

  浅浪:おいコラ。

沢野井:さあどうだね、浅浪顧問!?
君のルートを的確にそして尚且つ魅力的に!
この記事を読んでいる皆に伝わるよう、存分に披露してくれ!!

  浅浪:――任せろ!!

そこの可愛らしいキミ。俺を、養ってみないか?

カガハル:駄目だアアアアアア!
いい声でなにをいってるんだこの大人はー!!

木野瀬:最悪だな……。

  篠原:最低ですね……。

  浅浪:あれ!?俺なんか間違えたか!?

沢野井:HAHAHA!
いいや、期待通りだぞ浅浪顧問!!
他者の追随を許さぬ、その堕落っぷり!!
それでこそ浅浪顧問だ!!

カガハル:もうちょっと何かあったでしょう!?
大人の色気漂うシナリオーとか!
年齢差を活かした、切なさー、とか!!
なんでそっち方面をアピールしちゃったんですかー!!

  篠原:大変だ……!!

木野瀬:ど、どうした篠原。

  篠原:カガハルがまともなことを言ってる……!!

カガハル:うるせーよ!

  浅浪:お、おいカガハル?
どうした?熱でもあんのか?
体調悪いなら保健室いって、寝ててもいんだぞ?

カガハル:アンタもかよ!
つか、アンタは自分のアピール内容を心配しろよ!

沢野井:ふむ!では、カガハルくん!
この勢いのまま君のアピールへと移ろうかと思うが……
構わないかね!?

カガハル:当然!お任せあれ!!
……愛の騎士、カガハル。
愛しの先輩のためであれば、一万の言葉を並べても語り尽くせぬこの心を……!!
存分にアッピールしてみせますとも!!
そう!あれは桜舞う美しき春の――――(長い語りが開始)



  篠原:ところで、カガハルの次は誰にしますか?

沢野井:僕はいつでも構ないぞ!!

木野瀬:俺も特にこだわりはないかな。
ジャンケンで決めるか?

  浅浪:なー。俺もう順番終わったし、プラモ作ってていい?



カガハル:――その瞳たるや、まるで宝石の――



木野瀬:最初はグー。じゃんけん……ほいっ。

沢野井:む!篠原涼太くんがチョキ。
僕と木野瀬一輝くんがパーか。
篠原涼太くんの一人勝ちだな!!

  篠原:じゃ、順当に僕がカガハルの次にやりますよ。

  浅浪:ふん、ふふん、ふーん♪(鼻歌まじりにプラモ制作)



カガハル:――ああ!なんて美しさなんだ、俺の心はもう――



木野瀬:ついでに篠原の次も決めとくか。
部長、やっぱり部長は大トリがやりたいですか?

沢野井:僕かい?うーむ、そうだな。
ここまで来たのなら最後がいいかもしれないな!

木野瀬:んじゃ篠原の次は俺ってことで、決定ですね。

  篠原:アピール、か……
自分で提案しておいてなんだけど、
中々難しいな、どうしようか……。

  浅浪:うーし、完成っと!
……あー、集中してやってたから眠くなってきたな……。



カガハル:――というわけで!!
俺は愛しの先輩と挙式をあげることになるのです!!
せーんぱーい!あい・らぶ・ゆー!うぉー・あい・にー!

……以上!
ふっふーん……どうです皆さん!?
俺の完璧なまでのアッピールは!!

  篠原:……ん?ああ、うん。
凄いな流石だよカガハル。(聞いてないけど)

木野瀬:ま、まあ……いいんじゃないか?(見てないけど)

沢野井:熱意は伝わるのではないか!?
正直、全く理解はできなかったがな!!

  浅浪:…………(Zzz)

カガハル:一人寝てるし!!

  篠原:それじゃ次、僕の番ですね。
さっさと終わらせますので。

木野瀬:先生、ほら寝てないで。
篠原のアピール聞いてやらないと。

  浅浪:……んあ?
お……おお、そうか、そうだな。
大切な教え子の話はちゃんと聞かないとな。

カガハル:あれ!?先生、さっき寝てたよね!?
俺は大切じゃないのかコノヤロー!!

沢野井:さて!
それでは聞かせてもらおうではないか、篠原涼太くん!!
君のサイエンス煮えたぎる、ソウル・アッピールをな!!

  篠原:まあほどほどに頑張ります。

――今回は僕だけでなく、
科学部全員の新たな側面が見られると思います。
今まで知らなかった表情や仕草、ぜひ期待してくださいね。

木野瀬:おお、すごくまともだ……!

  浅浪:笑顔と声色が完全につくってるが、一部の隙もねえとはこのことだな。

沢野井:なんという模範的科学部員なのだ、篠原涼太くん!
素晴らしい!素晴らしいぞ!
それで、君自身のアピールは!?

  篠原:……え?終わりですけど、何か?

沢野井:なんですと!?

カガハル:は!?おま、自分のことアピールしてないじゃん!

  篠原:何言ってるんだカガハル。
しっかりアピールしてるよ。
【科学部全員の新たな側面が見られると思います】
科学部全員=僕も含めて、だ。

  浅浪:うわあ、この子ったら考えるのが面倒くさいからって曖昧な表現に逃げましたわよ、奥さん。

木野瀬:誰が奥さんですか。
……でも、篠原のドヤ顔を見る限り、もうアピール終了っていうのは本気でしょうね。

  篠原:その通りです。
別に今回の追加で僕が満面の笑みを浮かべて、
それがたまたまイベントCGになってしまったとか、言ったところで誰も喜びませんからね。

カガハル:それじゃ次の人……えーっと、部長と木野瀬先輩のどっちです?

木野瀬:ああ、次は俺だな。
つっても俺も篠原を否定できるほどきちんと宣伝出来るかっつーと疑問だけどな。

沢野井:僕は期待しているぞ!
科学部副部長という地位に座する君の実力!
サイエンスソウルを燃やし、遺憾なく発揮してくれたまえ!!

  浅浪:沢野井……
人にプレッシャー与えてるけど、お前も次にやるんだからなー?

  篠原:言っても無駄でしょう。無自覚ですよ、アレは。

木野瀬:えーっと……そうだな。
今回のある追加シナリオに関してなんだが、その、かなり、事故的な要素があってだな……。

沢野井:な……に……!?

カガハル:事故!?

  篠原:木野瀬先輩、
遂に事件を引き起こしたんですか?

  浅浪:木野瀬、辛いことは黙ってなくていいんだ。
なにかあるなら、俺が……責任持って守ってやるから。

木野瀬:ちげーよ!!
そういう方面の事故じゃねえから!!
もっとこう、イベントハプニング的な意味での事故だよ!!
……いや、今回その、俺と先生と【あいつ】の3人で温泉旅行に行ったんだが……。

カガハル:異議あァり!!

木野瀬:うお、なんだよ。

カガハル:そんな素敵シチュエーションに俺が混じってないとか!!
そのイベント収録のやり直しを希望します!!

木野瀬:む、無茶言うなよ……。

  篠原:温泉……事故……木野瀬先輩。
――ああ、なるほど。
大体予想つきました。
桃色な展開があったワケですね。

沢野井:桃色な展開だと!?
くっ、珍しい状況下においての部員の変化を記録したかった……!

カガハル:ぶふぅっ!

  浅浪:おおおっ!?
なんだ、どうしたカガハル!?
なにいきなり鼻血吹いて痙攣してんだ!?

カガハル:マイ・ヴィーナスとの混浴を想像したら――ぶほぉっ!!

  浅浪:か、カガハル!?カガハルぅー!!

  篠原:カガハルが死んだか……まあ別にいいけど。

木野瀬:いいのかよ……ま、まあとにかくだ。
そんな風にかなりドタバタな、科学部ならではって感じのイベントも多数収録されてるんだ。
篠原が言っていたような俺たちの新たな側面、ってのももちろん見所なんだが――変わらない俺たちの一面も、
きっと満足してもらえると思う。
だから、思いっきり楽しんでくれよな。

  浅浪:きっちりイベントの紹介って感じになったな。
つか、温泉のイベントってそんなことあったっけ?
俺あの日、酒入ってたからあんまり記憶ないんだよなー。

木野瀬:そ、それは……お楽しみってことでいんじゃないですかね。

沢野井:では最後はこの僕!
科学の申し子であり世紀の天才発明家、土岐島高等学校・科学部代表、沢野井宗介の出番だな!!

  篠原:部長はいい意味でも悪い意味でも変化がありませんから、特にアピールはいらないと思うんですが……。

  浅浪:そうだなあ。
挙句発明品持ち出してきて、爆発オチになるのが見えてるからな。

カガハル:はうっ……先輩LOVE……。

沢野井:なんだと!?いいじゃないか!
僕だけ仲間ハズレは悲しいではないか!!
宣伝くらいさせてくれたまえよ!!

木野瀬:明らかにおかしなカガハルには誰も触れないのか……。
でも部長、本当に爆発オチは勘弁してくださいよ?

沢野井:安心したまえ!!
僕はこの日のために、とある筋からこういった場面に最もふさわしい台詞を学習済みだ!!

  篠原:とある筋ってなんですかね……。

  浅浪:どうせネットだろ。
適当言ってるだけだよ。

沢野井:こういった場面では僕が得意としている演説は逆効果!
魂を込めた一言にこそ、人は惹きつけられると!
そう、雑誌に書いてあった!!

  篠原:雑誌でしたね……。

  浅浪:別になんでもいいけど、
沢野井の影響されやすさは尋常じゃないからな……。

カガハル:ああっ……先輩……!それは反則……っ!

木野瀬:んじゃ、とりあえずその一言とやらをお願いできますか。

沢野井:うむ!任せたまえ!

良い子のみんな!科学部で、僕と握手!!(くるっとポーズを決めながら)

――どうだね!?

  浅浪:これさー、
初代の夏空が発売したときも思ったけど、
宣伝になってんの?先生、激しく不安なんだけども。

  篠原:どうなんでしょうね。
趣旨としては、ゲーム内の雰囲気を伝えることにあるわけですし。
方向性は決して間違ってないと思いますけどね。

木野瀬:賑やかで、楽しそうな雰囲気を伝える――
ってとこは成功してると思いますから、
問題ないんじゃないですか?

沢野井:無視か!?無視なのか!?
そんなことをされると、僕は泣いてしまうぞ!?

  浅浪:はいはい。すごいすごい。
つーか、カガハルはいい加減夢の世界から帰ってこーい。(往復ビンタ)

カガハル:っは!?俺と先輩がハネムーンに行くだと!?

木野瀬:この短時間で結婚まで妄想したのか。
逆にすげえな……――ってあれ。
もうそろそろこのSSも終わりみたいだぞ。

沢野井:なんと!?
時の流れとはこんなにも早いものなのか。
諸行無常とはこのことか……。

  篠原:そういうのはいいですから。
締め、どうするんですか?

カガハル:決まってる!
我らが愛しの先輩への愛を込めた挨拶で終わるんだ!!

  浅浪:復活した瞬間にこれかよ、ブレねえなあお前は。

木野瀬:でもまあ言ってることは間違ってませんし。
いいんじゃないですかね?


カガハル:もちろん一番手はこの俺、カガハルがお届けします!!
――先輩!!また先輩と過ごせることが嬉しくて嬉しくてしょうがないです!
今回も一緒に、全力で楽しみましょうね!!

  篠原:馬鹿がうるさいですが――発言内容には賛成です。
せっかくの再会ですから、できる限り楽しみましょう。
待ってますよ、先輩。

  浅浪:2年半ぶりだもんなあ。
感慨深くなっちまうね、どうも。
ま、俺たちは何も変わってないし、これからも変わらねえ。
また一緒に科学部しようじゃねえか。

沢野井:我々の絆がもたらしたこの再会という出来事は必然だ!
そしてこの絆は決して弱まることはなく、今後ともより一層強くなっていくことだろう!!
ふはははははは!!今回も全力で楽しもうではないか!!


木野瀬:ほんと、みんなの言うとおりだな。俺もまた一緒に過ごせることが楽しみだよ。

また――会えるんだな。待ってるよ。