佐吉
「俺は深月鏡(しんげつきょう)と雅玖さんを守るために、
あんたの霊力、全部いただくぜ?」
渕田 結茉
「それも承知の上です」
佐吉
「……なら、いい」
佐吉さんは妖怪の姿になると、私の手をそっと握った。
鋭いまなざしをした佐吉さんと、視線がかち合う。
渕田 結茉
(こんな真剣な表情、初めて見た。今まで、すぐ赤くなっていたのに……)
何かと私を避け続けて、話すらまともにできなかった佐吉さんとは、
まるで別人のようだった。
佐吉
「あんたが覚悟を決めたんだから、俺も決めてやる。
化け猫退治、とことん付き合ってやるぜ」
手の甲にひんやりとした唇が触れた瞬間、首の後ろが、かっと熱くなって──