千暁
「では無事契約を結べることを願って……」
千暁さんは、私の手を恭しくとると、
自分の口元に引き寄せて、手の甲に口づけを落とした。
唇が触れた瞬間、首の後ろが、かっと熱くなる。
渕田 結茉
(この感覚……もしかして……)
主従契約を結ぶと、陰陽師と妖怪それぞれの首の後ろに契約の印が現れると、
以前文献で読んだことがある。
渕田 結茉
(無事、主従契約を結べたってこと……?)
千暁さんは、私の手の甲から唇を離すと、人間の姿に戻った。
千暁
「貴方の首の後ろ、確認してもよろしいですか?」
渕田 結茉
「あ……はい」
千暁さんは、私の後ろに回ると、私の髪の毛をそっと手で持ち上げる。
千暁
「ふふっ、はっきりと出ていますね。私のものだという印が……」