ローズ
(なに……? この光……)
弱弱しく明滅し、闇を漂ういくつもの光。
そのひとつが私の傍を横切っていく。

これはなんなのだろうと、そっと光に触れてみると――
ローズ
「うぅっ……!!」
視妖の手が勝手に発動し、誰かの記憶が頭に洪水のように流れ込んできた。

悲しみ、怒り、絶望――
強い負の想念が私を襲い、息をするのも苦しくなる。
ローズ
(……どうしよう、気が遠く、なって……)
足がふらつき、平衡感覚が失われる。
倒れると目を瞑った次の瞬間――
ルーカス
「……おい、大丈夫か」
目をそっと開けると、私はルーカスの胸の中にいた。
ルーカス
「まったく。どこまでついてくるのかと思えば……」
ローズ
「! 尾行に気づいていたんですか?」
ルーカス
「途中からな。まこうか迷ったが……。
お前のことだ。どうせ何をしているかわかるまでしつこくつけてくるつもりだろう」
ローズ
(それは……否定しない)
ルーカス
「それに、別に隠すようなことはしていないからな。
見たければ見ればいいと思ったんだ」
じゃあ、何をしていたのかと聞こうとして、ふと自分の状況に気が付く。