ローズ
(それにさっきの態度はなんだったんだろう。
――もしかしてヒト嫌い以外にも、私を近づけたくない理由がある……?)
ルーカス
「……」
苛立ったようにため息をひとつつくと、ルーカスは椅子から立ち上がり、私に近づいた。

背後には扉。
すぐ目の前にはルーカスが立ちはだかる。
逃げ場のない状況に気づき、緊張で身体がこわばった。
ルーカス
「お前もこの家の噂くらいは知ってるだろう。
……ここにいれば、恐ろしいめにあうかもな」
息がかかりそうな位の至近距離で、深い紫色の瞳が二つ、私を見据えている。

彼の指先が伸びてきて、頬に触れた。
冷たい感触が肌をなぞる。
ローズ
「……!」
ローズ
(『ウィル・オ・ウィスプは火を使って死者を操る』そうゴネリルが言っていた)
ローズ
(サリヴァン家の兄弟同士が狂って殺し合いをした。
それを操っていたのは、このヒトだと――)