ほっとしたのも束の間。設置の仕方が甘かったのか、本を戻し終えたとたんに脚立がぐらりと揺れる。
ローズ
(落ちる……! けど、これくらいなら――)
受け身を取れば怪我もしない高さだと、動こうとした矢先――
ローズ
(!?)
???
「大丈夫?」
次の瞬間、私は温かい腕の中にいた。
突然のことにいま何が起きているのか、状況が掴めない――

となったほうがいっそ良かったのだけれど。
そうなるには難しいくらい、私と彼は間近で見つめ合っていた。

彼――エドワードと。
どうやら私は脚立から落ちたところを、大変不本意だが彼に抱きとめられたようだ。
エドワード
「……間に合って良かった。
脚立ごと君が倒れそうになっているのを見て焦ったよ」
ローズ
「ええ、あの。ありがとうございます。
……エドワード様」
ローズ
(自分でどうにかできたなんて言うわけにはいかない)
ローズ
(か弱く、無害なメイドだと見られたほうがやりやすいに決まってる……けど……)
ローズ
(か弱いメイドは、こういう時にどんな反応をするのが正解なの……?)