麗華さん、どこかに青春は落ちていないかしらね……
本当ですわね、お姉さま……
こんなに良いお天気だと言うのに、うちの学生さんたら……
あら? 見てくださいな、お姉さま!
どうしましたの、麗華さん
あちらに、青春の塊が!
あらあら、まあまあ! 麗華さん、行きますわよ!
ええ、お姉さま!
ここはお花畑ですわね
まあ、今日も綺麗に咲き誇っていますわ
麗華さん、あそこに誰かいますわ!
はいはい、みんな聞いてー。というか、お前たち落着きなさすぎ
俺は落ち着いてますけど
そうね、落ち着きすぎて宇宙のような虚無だね
それでー? 特別講義ってなんだよー! めんどくせーよー
早くしてよー! めんどくさい
ひどい! 俺、先生なのに! もっと尊敬して!
あーもう! 話が全然進まないから、みんなとりあえず聞こーよー!
森……、お前だけが味方だよ……!
あ、そういうのいいんで。早く進めてください
余韻に浸らせて! まあ、いいけどね……
あれは……千彰くんと育成科のみなさんですわ
特別講義なんて教育熱心だこと。興味深いですわね
お花畑で、どんな講義をするのかしら?
そういえば、こちらをご覧なっているみなさんは、
我が学園のことをご存じありませんわよね
でしたら、わたくしたちが教えて差し上げたら
よろしいと思いますわ!お姉さま!
麗華さんたら、ナイスアイディア ♥
我が、鈴ノ森学園は今年で創立100周年を迎える
歴史ある全寮制の学園ですのよ
学科は育成科、アレンジ科、研究科がありまして、
育成科では、主に花の育成を専門に行っていますわ
麗華さん、完璧よ ♥
ちなみに、このお花畑は我が学園内の一部になりますわ
補足もバッチリね!麗華さん
で、あらためまして、
今回お前たちを呼んだのは、特別講義に参加してもらうためです
特別講義って、具体的になにするの?
……男性諸君。きみたちは知ってるかい!
日本はあまり花を贈る習慣がない!
が、しかし!
花束を持っている男性って、すてき……♥ と思っている女性多数
マジか!!
おい、真に受けるなよ……
ばかだな、蘭木よ! 女性はみな待っているんだよ!
愛しいあの人が花束を抱えて迎えに来るのをな!
さすが、千彰くんですわね。女子生徒に人気なだけありますわ
あら……、でしたら、あそこにいるみなさん、全員そうですわ
ふふふ、それもそうですわね
……ひどいね、この変態教師
うん……。って、そもそも、
どうしてアタシも、男子諸君として諭されてるの?
あ、今日は男子でお願いします
んー……、いいよ!
いーんかい!
まこちゃん! そこはあらがって!
まあ、楽しそうだし、いーんじゃない? ね!
そういう問題か……
ふふふ。みなさん、仲良しさんですわね
日向くんは隣のクラスですのに、すっかり溶け込んでしまって
普段は蘭の王子様と言われている蘭木くんも、
彼らの前では普通の男の子ですわ
ま、そういうことだから、
俺たちが先駆けて、新しい日本へと変えていこうぜ☆
うざぁ……。だいたい、どうやって変えるのさ
そりゃあ、愛しいあの人を思いながら、
どんな花を贈って、どんな愛の言葉を言おうかしらって練習しーの、
実践へ向けて突っ走るのよ。ばかだね千尋は
あほな変態教師には言われたくないよ! ばかばか! ばか千彰!
じゃあ、オレ、花探してくるー! 行こうぜ、司ー!
は? って、おい! 腕を引っ張るな……!
じゃ、俺も探しにいこーっと
ちょ!? 抜け駆けすんな! ばか千彰! 行こう、まこちゃん!
あはは、オッケー!
お姉さま、みなさん、お花畑で楽しそうですわね
ええ、麗華さん。愛する人のために花を探す……
ロマンチックですわね! お姉さま!
これぞ青春ですわね! 麗華さん!
青春というのは、どうしてこんなに胸がドキドキするのでしょう……
お姉さま! わたくし良いことを考えつきましたわ!
今後みなさんの生活を見守ると同時に、青春を探しませんこと?
まあ! それはナイスアイディアですわ!
では、このコーナーを『秘密の小部屋』と名付けましょう
素敵なお名前ですわ。
ふふふ。そうと決まれば、お姉さま。
お茶を飲みながら、今後について語りませんこと?
ええ、今日は、青春のように甘い紅茶を飲みましょう
はい、お姉さま