露木 紗世
「……わかりました。
でも具体的にどうすればいいんですか?」
山科 瑛
「簡単だよ。口開けて、べろ出して」
露木 紗世
「え……!?」

戸惑う私にはいっさいかまわず、
山科さんの指先が私の唇に触れる。

山科 瑛
「ほら、あーん」

決して乱暴ではなかったけれど、
問答無用で口を開かれてしまっては、
抗う術もなかった。

露木 紗世
(この距離で口を開けて見せるの、
ものすごく恥ずかしい……!)

おそるおそる舌を出せば、
山科さんは手にしていた器具で
ちょんちょんと私の舌先を撫でつける。

露木 紗世
「っ……」
山科 瑛
「うん、いい子いい子。
あと2枚とるから、そのままキープね」
露木 紗世
(そのまま!?)

山科さんにとってはただの実験なわけで、
この状況でもいつも通りなのは
当然かもしれないけど――

私としては無防備に口を開けて
観察されているのが恥ずかしくて、
勝手に顔が熱くなるのを感じる。

山科 瑛
「――あ、だめ。そのままだよ。
口閉じないで」
露木 紗世
「んんっ!?」

山科さんが指先に力を込めたせいで、
閉じかけていた口が再び大きく開かされた。

当たり前だけど、
どれだけ羞恥を感じたとしても
それに反して唾液は出てくる。

露木 紗世
(早く終わって……!)

そう思ったと同時、
山科さんが屈めていた身を戻した。

山科 瑛
「……はい、終わり」