戸惑う私にはいっさいかまわず、
山科さんの指先が私の唇に触れる。
決して乱暴ではなかったけれど、
問答無用で口を開かれてしまっては、
抗う術もなかった。
おそるおそる舌を出せば、
山科さんは手にしていた器具で
ちょんちょんと私の舌先を撫でつける。
山科さんにとってはただの実験なわけで、
この状況でもいつも通りなのは
当然かもしれないけど――
私としては無防備に口を開けて
観察されているのが恥ずかしくて、
勝手に顔が熱くなるのを感じる。
山科さんが指先に力を込めたせいで、
閉じかけていた口が再び大きく開かされた。
当たり前だけど、
どれだけ羞恥を感じたとしても
それに反して唾液は出てくる。
そう思ったと同時、
山科さんが屈めていた身を戻した。