露木 紗世
(そういえば、
理都はもういないのかな?)

話してからけっこう時間が経っているし、
気づかないうちに家を出たのかもしれない。

露木 紗世
(汗かいたし、シャワー浴びようかな。
それからお昼ご飯にしよう)

そう思って、
リビングを出ようとした時――

ドアノブに手をかける前にドアが開き、
ふわりと石けんの香りが鼻をくすぐる。

次の瞬間に目に入ったのは、
濡れた肌と、頭にかけられたフェイスタオル。

水分を含んだ毛先からこぼれた雫が、
首から胸、そして腹筋へと滑り落ちていく。

露木 理都
「……うわ、最悪」
露木 紗世
「え、理都!?
もう出かけたんじゃ……」
露木 理都
「シャワー浴びてただけ。
音で分かんなかったのかよ」
露木 紗世
「それは……さっきまで
掃除に夢中になってたから……」

なんとか会話はしつつも、
突然の状況に混乱して理都のことを
直視できない。

露木 紗世
「ていうか、服!
なんで着てないの!?」
露木 理都
「人を露出魔みたいに言うな。
着替えのTシャツ部屋に忘れたんだよ」
露木 紗世
「だからって……」
露木 理都
「下は履いてんだから別にいいだろ。
つか、早く服着て欲しいならそこどいて」
露木 紗世
「あ、ごめん!」

ドアの前をふさいでいることに
気が付いて慌てて端によけると、
理都は平然と私の横を通り過ぎていった。