話してからけっこう時間が経っているし、
気づかないうちに家を出たのかもしれない。
そう思って、
リビングを出ようとした時――
ドアノブに手をかける前にドアが開き、
ふわりと石けんの香りが鼻をくすぐる。
次の瞬間に目に入ったのは、
濡れた肌と、頭にかけられたフェイスタオル。
水分を含んだ毛先からこぼれた雫が、
首から胸、そして腹筋へと滑り落ちていく。
なんとか会話はしつつも、
突然の状況に混乱して理都のことを
直視できない。
ドアの前をふさいでいることに
気が付いて慌てて端によけると、
理都は平然と私の横を通り過ぎていった。