小さく波が揺れる海面を見ながら、
考え込んでいると――
ふいに、後ろから名前を呼ばれた。
ついさっきまで私の頭を悩ませていた相手が
目の前に現れたことに焦り、
とっさに距離を取ろうと脚をバタつかせる。
するとその拍子に、浮き輪が外れてしまった。
そのまま身体が波に飲まれて、
海の中へと沈んでいく。
突然のことにパニックになり、
どちらが上かも分からないまま、
手足をバタつかせていると――
肩に腕を回されて、
海面へと引き上げられた。
呼吸のペースをはかるように、
恭也さんの手が私の背を優しく叩く。
完全に逃げようとしていたくせに、
必死に言い訳をしてみせる。
すると、恭也さんは苦笑を浮かべた。
情けなさと申し訳なさで
つい俯いていると……。
ふと、ほとんど抱きしめられているような
体勢になっていることに気付いた。