吹き抜ける海風に身を任せながら、
ぼんやりとそんなことを考えていると――

日下部 恭也
「隙あり」
露木 紗世
「きゃっ!?」

突然ひやりとしたものが首筋に触れて、
肩が大きく跳ねる。

振り向けば、そこにはくすくすと
楽しげに笑う恭也さんの姿があった。

露木 紗世
「びっくりした……!
もう、驚かせないでください……!」
日下部 恭也
「あはは! ごめんねー。
可愛い後ろ姿を見てたら、
つい悪戯したくなっちゃった」
日下部 恭也
「はい、これどうぞ」
露木 紗世
「……ありがとうございます」

差し出されたのは、
缶のぶどうジュースだった。

悪戯の理由はあまり深く考えないことにして、
素直に受け取る。

さっきの冷たさを思い出して
つい首筋に手をやると、
それを見た恭也さんが笑みを深めた。

日下部 恭也
「ふーん? なるほどね」
露木 紗世
「なんですか?」
日下部 恭也
「紗世ちゃん、首が弱いんだ。
かわいい弱点知っちゃったなあ」
露木 紗世
「あんな風に急に
冷たいのを首に当てられたら、
誰だってびっくりします!」
日下部 恭也
「あはは、それもそっか」
露木 紗世
「もう……」