茜色に染まる電車内で、
紗世は俺の肩に寄りかかりながら
静かな寝息を立てている。
そのあどけない様子に、
自然と笑みがこぼれた。
――今まで、バース性とは
無縁だったはずの彼女の人生。
それが、ある日突然オメガだと告げられて
番を探すことになるなんて、
きっとひどく困惑したはずだ。
俺を信頼して隣で眠ってくれることを、
こうして一緒に過ごす時間を、
幸せだと思ってしまう。
呟いた言葉は、
紗世に届くことなく
夕暮れの車内に溶けて消えていった。