露木 紗世
(どうしよう……)

おろおろしながら、
そのまま身動きが取れずにいると――

???
「こら。他のお客さんに絡むなって言っただろ」

凜とした声が聞こえたかと思うと、
揉める彼らの合間を縫って、
もうひとりの男性が顔を覗かせた。

???
「驚かせてごめんなさい。
怪我は無いですか?」

周囲を囲む男性たちとは正反対の、
優しく穏やかな印象の人。

彼は身をかがめると、こちらに手を差し出した。

???
「彼らに悪気はないんですけど、
どうしても威圧感がすごくて。
怖かったですよね」
露木 紗世
「いえ、そんな……!
こちらこそ、失礼な態度を
取ってしまってすみません」
???
「いいんですよ。そもそも、
女性ひとりを男性複数で囲んだりしたら
怖がられるのは当然なので」

苦笑しながら私の手を取り、
立ち上がるのを手伝ってくれる。

露木 紗世
(……あれ?)

その穏やかな声音と優しい笑顔には、
なんだか覚えがあった。