作業がしやすいように移動してあった机を、
手分けして戻していく。
その途中、ふと近くにいた
陽凪くんの髪に糸くずのようなものが
ついているのに気付く。
取ってあげようと思って
何気なく彼の頭へ手を伸ばすと――
鈍い音を立てて、勢いよく払い落とされた。
一瞬、何が起こったのか理解ができなかった。
けれど手にはじんわりと
痛みが残っていて、
これが現実なんだと認識する。
混乱しているのは陽凪くんも同じのようで、
お互いに無言のまま見つめ合う。
心なしか、彼は今にも泣き出しそうな
表情をしているように見えた。
そう思うのに、
喉が締めつけられたように声が出ない。