そのまま、彼の目が細められて――
気が付けば、身体ごと
プールの中に引き込まれていた。
驚きはしたものの、陽凪くんが
しっかりと腕をつかんでくれているから、
恐怖は感じない。
そして、程なくして身体が抱き上げられた。
陽凪くんの凪いだ海のような瞳の中に、
自分の姿が見える。
それくらい至近距離に、彼の顔があった。
私の髪からぽたぽたと水滴が落ちて、
陽凪くんの頬を濡らす。
けれど彼はそれを気にした様子もなく、
ただまっすぐに私を見つめていた。
私の背中や腰にはしっかりと腕が回されていて、
触れ合っている部分から
じんわりと彼の体温を感じる。
ぽつりと、陽凪くんがつぶやく。
突然の言葉にきょとんとしていると、
陽凪くんは我に返ったかのように
慌てた様子で声を上ずらせた。
陽凪くんが私をプールに引き込んだことを
今更気にし始めたのがなんだかおかしくて、
つい笑ってしまう。
私が怒っていないことに安心したのか、
陽凪くんはほっとした様子で息を吐いた。