???
「……あれ、もしかして紗世!?」
露木 紗世
「え?」

唐突に名前を呼ばれて振り返ると、
そこにはキャップを被った男性がいた。

そして彼はキャップを取って、
人懐っこい笑顔を私に向けてくる。

???
「うわ、マジか! やっぱそうだ。
めっちゃ大人になってるじゃん……!」
露木 紗世
「陽凪くん!? ひさしぶり!」
棗 陽凪
「ほんとにな! いつぶり?
高校卒業したとき以来だから……
5年ぶりとか?」
露木 紗世
「うん、そうだね」

陽凪くんは高校時代の同級生。
外見こそ大人っぽくなったものの、
明るくてはつらつとした印象は以前のままだった。

彼はデリバリーか何かの仕事中なのか、
すぐ横にあるクロスバイクの荷台には
大きなリュックが積んである。

棗 陽凪
「にしても、大人っぽくなったな。
もし人違いだったらどうしようって、
一瞬声かけるの迷ったもん」
露木 紗世
「え、そうかな?
理都には全然変わってないって
言われたんだけど」
棗 陽凪
「えー、それは多分照れてるだけじゃね?
他のみんなも紗世のこと見たら
びっくりすると思うし」
露木 紗世
「ふふ、ありがとう」

昔と変わらない人懐っこい笑顔に、
私もつられて笑みがこぼれた。