卓さんの家に着いたときは、かなり濡れてしまっていた。
すぐに、卓さんがタオルを持ってきてくれて……。
私は卓さんの心遣いに感謝しつつ、大ざっぱに身体を拭いた。

珠紀
「……とりあえず、こんなところで……」
「いいえ。まだダメです」
珠紀
「す、卓さん……!」
「ちゃんと頭も拭かなければいけません。この頃は風邪も流行ってるようですからね」

丁寧に丁寧に、髪を拭いてくれる。
なんだか子ども扱いされているようで少し不満で……。
同時にすごく、嬉しかった。

「さあ、こんなものでいいでしょう」
珠紀
「あ、ありがとうございました……」