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[Bloody Nightmare] Scenario

じっと彼は私の顔をまっすぐに見つめてくる。
浅はかな嘘は、あっさりと見抜いてしまいそうだ。

フィオナ
「私ね、自分がゾディバに感染しているかもしれないから特効薬が欲しいってわけじゃないの。
もちろん、死にたいってわけでもないのよ?」
ラス
「…………。」
フィオナ
「さっきも言ったけど私はロベイラ種なの。
小さな頃からずっと、いつ病気で命を落としてもおかしくないって言われてきたわ。」
フィオナ
「ネッソやザラに、いっつも迷惑ばかりかけてきて……。
……出来損ないみたいに感じたりもしてた。」
ネッソ
「フィオナ……。」
ザラ
「お嬢様……。」
ラス
「…………。」
フィオナ
「それだけじゃないのよ?
今回なんて、ロベイラ種なのに生きているから魔女に違いない、なんていわれちゃってね。」
フィオナ
「それで、王城に拉致監禁されるハメになったの。
……散々よね。」
ラス
「…………。」

彼は無言だ。

だがそれでも、感じる強い視線が、彼が私の話を
きちんと聞いてくれていることを示していた。

フィオナ
「正直ロベイラ種であることで得したことなんて、ないわ。」
フィオナ
「私、ずっとロベイラ種じゃなければよかったのに、って思ってた。」
フィオナ
「でも今回、私の血が、もしかしたらゾディバへのカウンターになるかもしれないって聞いて……。
ちょっと、嬉しかったの。」
フィオナ
「私にも、生きていた意味があった、って。
私の人生にも意味があった、って。」
ラス
「…………。」
フィオナ
「だから、私たちに……ううん、私に力を貸してほしいの。」
フィオナ
「意味が、欲しい。
私は、ロベイラ種である自分を好きになりたい。
認めてあげたい。生きてて、よかったって。」
ラス
「……生きてて、よかった?」
フィオナ
「……そう。」
フィオナ
「この国に蔓延する悪夢を――……これ以上続けたくないの。」
フィオナ
(……我ながら、めちゃくちゃだわ)

ウェブリンの民のためでも、ウェブリンという国のためでもなく、そんな理由で。

ラス
「…………生きてて……。そうか……。」
フィオナ
「…………。」
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